2020年2月からリーマンショック(2008年9月)以来の波乱相場となっています。
アジアだけでなく欧米でもコロナウィルスの感染者増加が明らかになった2月24日(月)の夜の米国市場からリスクオフが一気に進みました。
今日は3月11日(水)なので約2週間ほど経過してますが、様々な角度からここまでの展開を振り返ってみたいと思います。
株価
まず、米ダウですが、2/12に史上最高値を更新し(29,568ドル)、3万ドルにあともう少しのところまで上昇しました。
しかし、12日後の2/24に窓を開けて下落。
ここから2回に分けて大きく下落し、3/10に23,690ドルまで下落しました。
- 下落幅:29,568 – 23,690 = 5,878ドル
- 下落率:(23,690 ÷ 29,568 – 1) × 100= -19.87%
今後、3回目の大幅下落が来る可能性も十分にあると思われます。
というのも、2008年のリーマンショックの時も-7%を超える下落が3回に分けて起こっているからです。(3回目は少し時間差がありました。忘れた頃にやってくるみたいな。)
1日で7%以上の下落は下落率としては非常に大きく、めったに見れない数値です。全ての株式売買を一時中断する措置(サーキットブレーカー)が発動するレベルですから。
NYダウ平均株価 過去のレート – Investing.com
上の画像は米ダウの2008年9月1日〜12月31日までの株価データです。
リーマンショックが起こったのが2008年9月15日です。
最初に7%超える下落が起こったのは10/9、そして4営業日後の10/15に2回目の7%以上の下落。そして、45日開けてそろそろ落ち着くかなと思われた12/1に3回目の7%以上の下落が起こっています。
途中10%を超える上昇も2回あります。
また、今回のコロナショックはリーマンショック以来の株価下落であり、リーマンショックと同じ震度で株安が進んでいるという記事もありました。
暴れ出した「灰色のサイ」 リーマン危機なぞるか:日本経済新聞(2020/3/10)
世界の金融・証券市場が、2008年9月のリーマン・ショック時をほうふつとさせる混乱に見舞われている。9日の米ダウ工業株30種平均は2013ドル安と過去最大の下げ幅を記録し、10日午前の東京市場では日経平均株価の下げ幅が一時800円を超えて1万9000円を下回る場面があった。
そんなリーマン・ショックとの比較が大げさに聞こえないほど、コロナ・ショックの連鎖株安が深刻になってきている。
ダウ平均の終値ベースの1日の下落幅をランキングすると、9日の1位をはじめ上位10以内には2月中旬以降のコロナ株安が5日入る。史上最高値を更新したばかりと過去よりも株価水準が高いため下落幅も大きくなるのは当然だが、下落率の順位でも9日(7.79%)は歴代15位(野村証券調べ)に顔を出した。
08年9月のリーマン・ショック、15年8月のチャイナ・ショック、18年2月のVIXショック、今回の4つについてダウ平均の推移をグラフで比較すると、リーマン・ショックの株安をコロナ・ショックがほぼそのままなぞっていることが分かる。
チャイナ・ショックとVIXショックの際は下落は株価下落が始まってから6日前後で10%前後下げ、そこで相場は反転した。リーマン・ショックと今回はそこで株価下落は止まらず、下落開始から17日後の下落率はともに20%前後に達した。
上のチャートを見ると、コロナショックがリーマンショック級ならここからさらに倍くらい下落余地があることになります。
今年は大統領選挙がありますし、トランプは米国史上最も株価を気にする大統領です。(株価=大統領支持率)
今後の米国市場から目が離せません。
次に日本市場です。
日経平均は1/17に24,000円台に乗せています。(24,115円)
しかし、3連休翌日の2/25(火)から窓を開けて下落。
3/10には18,891円まで下落し、久しぶりの18,000円台となりました。
- 下落幅:24,115 – 18,891 = 5,224円
- 下落率:(18,891 ÷ 24,115 – 1) × 100= -21.66%
ちなみに、2007年のサブプライムローンの最高値(2007年2月の18,300円)から2008年のリーマンショック後の最安値(2008年10月の6,994円)までの下落率は-61.78%です。
(6,994 ÷ 18,300 – 1) × 100= -61.78%
100万円が40万に、1000万円が400万円に、1億が4000万円に減ったという感じですね。資産が半分以下になるという恐ろしい相場です。。
上の画像は、日経平均株価が今年初めて2万円割れした3月9日の日経新聞のマーケットデータです。
東証一部(TOPIX)のPBRがちょうど1倍、日経平均のPERが12倍、配当利回りは2.5%ほどです。
私はいつもこのページで東証一部の売買代金を確認するのですが、通常は2兆円前後ですが、この日の売買代金は3.4兆円と非常に活況となっています。
これは売っている人も多いけど、底値で拾っている人も多いことを意味します。売りたくても買ってくれる人がいないと売買が成り立たないからです。
今は「個人投資家の追証回避の売り(信用取引)」と「機関投資家の損失確定の売り」というフェーズでしょうか。
今後、さらに暴落相場がやってくると、今度は投げ売りばかりで買おうとする人は激減して、売買代金が少なくなってくる展開になると思われます。その時が本当の底になるかもしれません。もうこれ以上、下げないで欲しいですが・・・。
株価下落のヘッジとしてはFXが有効です。
リスクオフ相場では円高・株安が進みますので、私が利用しているXM(エックスエム)なら為替だけでなく株価指数先物のBUY(買い)もSELL(売り)もできます。
ドル円SELL、米ダウ先物SELL、日経先物SELLといった感じで、含み損が増え続ける現物のヘッジポジションを建てることができます。
口座開設は以下の記事を参考にして下さい。すぐに終わりますし、ボーナスも多いです。
為替(クロス円)
為替はどの通貨ペアでも大幅な円高が進みました。
海外旅行に行きやすい為替レートとなっていますが、コロナウィルスで外食すらままならない状態なので、海外旅行どころではありません。。
ただ、もう少し円高が進んだら、将来の海外旅行や外国株購入、海外不動産購入ために外貨に変えておくのもアリかもしれません。
実際、3/9〜10は銀行で外貨両替する人が増えたようです。
不動産の投げ売りが出やすいのも、今のようなリスクオフ相場です。
円高(=円の価値が上昇)になったということは、海外の不動産を同じ値段でも円のパワーで安く買えるということです。
日銀のETF買い入れ額
株安・円高を受けて、日銀が「ETFの買い入れ額」を3月に入ってから1日703億円から1002億円に増額しました。
日本銀行:指数連動型上場投資信託受益権(ETF)および不動産投資法人投資口(J-REIT)の買入結果
日銀のETF買い入れ額は上記ページでエクセル形式で見ることができます。
上記は2020年2月の日銀のETF買い入れ額です。
日銀のETF買い入れは3種類(右記以外・設備人材投資ETF・J-REIT)に分かれていますが、一番影響が大きいのが「右記以外」です。
単位は「億円」ですが、2月までは1日で703億円のETFを買い入れている日が何日かあります。
これが3月に入ってから、1002億円に増額されました。約30億円の増額です。
日銀のETF買い入れがなければ、今頃、日経平均は18000円くらいと言う人がいますが、日銀が株安・円高を支える構図ができています。
ちなみに、現在の日銀ETF買い入れの損益分岐点は日経平均株価で19,500円程度のようです。
黒田日銀総裁、ETFの損益分岐点「1万9500円程度」:日本経済新聞(2020/3/10)
日銀の黒田東彦総裁は10日の参院財政金融委員会で、日銀が保有する株価指数連動型上場投資信託(ETF)の時価が簿価を下回る損益分岐点について「2019年9月末の保有状況を前提にすると、日経平均株価が1万9000円程度」と述べた。そのうえで「その後の買い入れ実績を踏まえると19年9月末に比べ500円程度切り上がった可能性がある」との試算を示し、現在の損益分岐点は日経平均で1万9500円程度との見解を明らかにした。
債券利回り
コロナショックによるリスクオフで、世界のマネーは株式から債券に向かい、債券利回りは大きく下落しています。(債券価格は上昇)
10年債に関する逆イールドは解消されていますが、米10年債利回りが1%以下となっています。
米10年債利回りは一時期0.4%台まで下落しました。
日米の金利差が縮小するので円高要因となります。
FRBは2020年3月3日に0.5%の緊急利下げをし、政策金利が1.0〜1.25%まで下がりました。
そして、再度の利下げが今月のFOMCで予定されています。
Countdown to FOMC: CME FedWatch Tool
金利先物市場では、3/18に行われるFOMCで75%(100 – 25 = 75)の利下げが99%の確率で織り込まれています。
日本もヨーロッパも低金利(マイナス金利)で、先進国で唯一金利が付くのがアメリカでしたが、とうとうアメリカもゼロ金利に近い数値になるのかもしれません。
トランプも「日本や欧州と戦える低金利にしろ」とFRBにツイッターで迫っていますし、マイナス金利までにはならなくても年内にゼロ金利になる可能性はあるかもしれません。
そうなると、おそらくドル円BUYしてもスワップポイントがほとんど付かなくなるのではないでしょうか?
実際、3/3の利下げ以降、ドル円BUYのスワップポイントの額が減っています。
リーマンショック以降、ゼロ金利だった米国の政策金利は、景気が上向いてきた2015年12月に利上げを再開し、段階的に上げていきました。
2018年12月に2.5%まで上がりましたが、予定では今月のFOMCで0.5%まで下がります。
日米金利差はさらに縮小するので、ファンダメンタルズ的には円高圧力がかかるということになります。
VIX(恐怖指数)
私がウォッチしていた限りでは、VIXが20以上に上がり始めてから円高が本格的に始まり、株安も連動していきました。
Googleで「VIX」で検索すると、チャートが出るようになったようです。
VIXが50以上って、なかなか見れない数値だと思います。
現状のGoogle検索では5日までのチャートしか見られないようです。
1991年からのVIX指数のチャートを見ると、現在のVIX指数はリーマンショック(2008年末)の次に高い数値となっています。
VIXの日本バージョン(日経平均株価を対象)の「日経VI(日経平均ボラティリティー・インデックス)」は過去10年しか見れないのでリーマンショックは入っていませんが、過去10年で一番高い数値となっています。
オリンピックは延期、中止になるのか・・・?
コロナショックで大幅な円高と株安、経済活動の停滞でかなりの人がダメージを受けていると思いますが、これに加えて「オリンピック延期 or 中止」になったら日本経済にトドメを指すような展開になってしまうかもしれません・・・。
「1年か2年延期も選択肢」 東京五輪組織委幹部:日本経済新聞(2020/3/11)
2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会で理事を務める高橋治之氏が10日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)でインタビューに応じ、新型コロナウイルス感染拡大の五輪への影響について「大会は中止されないと考えている」との認識を示し、私見として今夏の開催が断念される場合は1年か2年延期が現実的な選択肢との考えを語った。
大会組織委は公式見解として「発言の詳細や内容については承知していません。大会の延期は検討していません。大会準備は計画通り進めて参ります」とコメントした。
広告代理店、電通元専務の高橋氏は「来年のスポーツイベント予定は大半が固まっているため、延期の場合は2年後の方が最も調整しやすい」との考えも示した。
数カ月の延期では米国や欧州のプロスポーツと開催時期が重なり、国際オリンピック委員会(IOC)に莫大な放送権料を支払っている米テレビ局への配慮を理由に挙げた。大会を中止、もしくは無観客で実施した場合の経済的損失も大きいと指摘した。
電通の元専務だった人が「延期の場合は2年後の方が最も調整しやすい」と語ったそうです。
この発言を聞いた森喜朗さん(東京五輪・パラリンピック組織委員会)は怒ったそうですが、水面下では延期の選択肢も出ているのでしょう。
数ヶ月の延期だと他スポーツとスケジュールが重なってしまい、中止だと経済的損失も大きいということで、2年延期が一番現実味があるようです。
結局、日本だけがコロナウィルス対策を頑張っても意味がないんですよね。
東京オリンピックは世界中の人が日本にやってくるので、世界全体でコロナウィルスを抑え込まないと、日本に感染者がたくさんやって来ることになってしまいます。
そして残念ながら、コロナ感染者は世界で現在進行形で増え続けています。
初期の頃は「アジアウィルス」と言われていたくらいアジアでの感染者が多かったですが、今は欧米の感染者がメインとなりつつあります。
欧米人は挨拶でハグや握手、キスの習慣があるので、感染しやすいのかもしれせん。
また、ウィルスの感染率はその国の衛生環境も大きく影響を与えるので、日本のように水道の水が飲めるくらい衛生環境が良い国は他国に比べて感染しずらい環境と言えます。
逆に、衛生環境が悪い国は日本よりも感染者が増えやすくなります。
Coronavirus Update (Live) COVID-19 Wuhan China Virus Outbreak – Worldometer
2020年3月11日時点の国別の感染者数(Total Cases)のランキングです。
感染者数はその国の検査に対する姿勢も影響するので、この数値がどれだけ正確かは正直分かりません。
イタリアや韓国は徹底的に検査しているという情報が流れていますが、そのせいでイタリアは医療崩壊を招いているというニュースも見かけました。
日本も含め、どの国でもそうですが、通常は平時でも医師不足です。それがコロナウィルスの検査で人が病院に押しかけたらパンクしてしまいます。
日本は今のところ検査に対して積極的ではないので、実際には感染者はもっと多い可能性があります。ただ、その場合は致死率はもっと低くなります。
ちなみに、New York Times(ニューヨークタイムズ)のデータだと、Diamond Princess(ダイヤモンド・プリンセス)の数が日本にカウントされているのですが、Diamond Princess(ダイヤモンド・プリンセス)はイギリスの会社が所有し、アメリカの会社が運営しているクルーズ客船なので、日本にカウントするのは正確ではありません。
ダイヤモンドプリンセス(Diamond Princess)とはイギリスP&O社が所有し、アメリカのプリンセス・クルーズ社によって運航されている外航クルーズ客船。
アメリカに本拠地があるカーニバル・コーポレーション(Carnival Corporation & PLC)の傘下のプリンセス・クルーズ社が運航しているクルーズ客船であり、同型の姉妹船にサファイア・プリンセスがある。
New York Times(ニューヨークタイムズ)は世界中の人が読んでいるので、日本政府はクレームを入れるべきではないでしょうか?
こちらは死者数(Total Deaths)のランキングです。
中国以外では、イタリアとイランの死者数が突出しています。
致死率だと中国3.9%、イタリア6.21%、イラン3.93%、日本2.04%、韓国0.78%でイタリアの致死率が頭ひとつ抜け出ています。
おそらく、日本も検査に積極的になれば、韓国と同じかそれ以下の致死率になるのではないでしょうか。
いずれにせよ、早く普通に外食したり、イベントに参加できる生活に戻って欲しいものです。
もし、東京オリンピックが延期や中止になったら、為替や株価はどう動くでしょうか?
日本にとっては確実にマイナスなので、リスクオフ的な動きになるとしたら株安・円高です。
すでに、アルゴリズム取引でこのようにプログラムされているかもしれません。
ただ、円高になるということは円が買われるということです。
日本にとってマイナスなことが起きても円が買われるのか?
東日本大震災の時は円が買われましたが、東京オリンピックの延期・中止では円が売られる可能性もあります。
どっちに動くか分かりませんが、どちらかに大きく動く確率は高そうです。その時に順張りで連いていけたらと思います。