FXトレード実践研究ブログ

2019年から仮想通貨で稼いだ人の悪質な税逃れ対策を強化、仮想通貨の税金・税率はどうなっているの?

今日の日経新聞に「仮想通貨で稼いだ人の税逃れ対策を強化する」というニュースがありました。

仮想通貨の税逃れ防止 政府・与党、交換業者に照会検討:日本経済新聞(2018/11/24)

政府・与党は仮想通貨の取引などで得る所得の悪質な申告漏れを防ぐため、仮想通貨交換業者などに情報を照会する制度を設ける方針を固めた。今は業者が個人情報の提供に応じる義務はなく、税逃れを追い切れない。悪質な取引への税務調査を徹底し、税金をきちんと払っている人との不公平感をなくす。

取引にかかわる氏名と住所、マイナンバーを交換業者などに求める「情報照会制度」をつくる。与党の税制調査会で議論して2019年度の税制改正大綱に反映し、国税通則法の改正を目指す。

2019年度の税制改正大綱に反映するということで、2020年あたりから仮想通貨の脱税ニュースがちらほらと出てくる可能性があります。

FXも流行ってから3〜5年後に脱税ニュースがたくさん出てきたので、仮想通貨も2020〜2022年頃に2017年に数千万から1億円を超える利益を得たにも関わらず、翌年の確定申告で深刻しなかった人のニュースが出てくるのではないか?ということは過去の記事にも書いた通りです。

2020〜2022年頃に仮想通貨の脱税(課税逃れ)ニュースがたくさん出るか?

2018年10月30日

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2018年8月4日

仮想通貨は2017年から取引量が急増していますが、申告漏れの規模を把握できていないという問題があるようです。

日本で会社勤めしている人は、税金は会社が源泉徴収で払ってくれるので、自分で税金を納税するという習慣がありません。

個人事業主やフリーランスなら毎年2〜3月に確定申告して納税しますが、確定申告をやったことがない人は、バレないだろうと納税していない人も少なくないと思われます。

新制度では悪質な申告漏れが疑われる取引について、氏名などを事業者に照会する。照会の乱発を防ぐため、税務署が入念に事前調査をすることを条件とする。不当に拒否した場合には、懲役1年以下または罰金50万円以下の罰則を設ける。

照会できるケースは限定する。例えば過去1年間の税務調査で、取引をしている人の半数以上が申告漏れ状態と判断できた場合や、脱税目的が疑われる不自然な取引形態の場合などに限る。高額の申告漏れに的を絞るため、取引で得られる利益が1000万円未満のようなケースは対象から外す方針だ。

税務署も暇じゃないので、税金をたくさん取れる人を集中的に狙っていきます。

そのため、仮想通貨の取引で得た利益が1000万円以上の人に絞って調査するようです。

仮想通貨による巨額の脱税ニュースがテレビなどで報道されれば、多くのトレーダーの納税意識も高まることにつながります。

ちなみに、会社員は会社の給料以外に20万円以上の所得がある場合は、確定申告する義務が生まれます。

仮想通貨の税金・税率

個人の所得に関する税金は大きく分けると「国税」と「地方税」に分類されます。

所得税は「国税」、住民税は「地方税」です。

所得税には以下の10種類がありますが、仮想通貨の取引から得た所得は10番目の「雑所得」になります。

  1. 利子所得・・・銀行預金の利息、債権の利息、投資信託の分配金など
  2. 配当所得・・・株式の配当収入など
  3. 不動産所得・・・不動産の賃貸収入など
  4. 事業所得・・・農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などのビジネスから得る所得
  5. 給与所得・・・勤務先から受ける給料やボーナス
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得 ←仮想通貨はコレ!

参考:国税庁:所得税のしくみ

また、投資をやるなら覚えておきたい税制があります。それは「総合課税」と「申告分離課税」の違いです。

仮想通貨は「総合課税」、FXは「申告分離課税」です。

「総合課税」では各種の所得を合算して税額を計算します。

たとえば、会社の年収が600万円で仮想通貨で1年間で得た所得が500万円の場合、両者の所得を合算した1100万円に対して課税されます。

「総合課税」は累進課税となっているため、以下のように所得が増えるほど税率が上がり、税額も上がります。

所得税の速算表・平成27年分以
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

参考:国税庁:所得税の税率

たとえば、基礎控除や配偶者控除などを引いた課税所得が600万円の場合、税率が20%、控除額が427,500円となるので、所得税の税額は以下のような計算になります。

6,000,000(課税所得) x 0.2(税率) – 427,500(控除額) = 772,500円(所得税)

さらに、住民税は課税所得(600万円)に対して一律10%なので60万円となり、所得税と住民税の合計は137万2500円となります。(772,500 + 600,000 = 1,372,500円)

つまり、課税所得が600万円の人は、所得税と住民税を払うと、手元には462万7500円しか残らないということです。(6,000,000 – 1,372,500 = 4627500)

仮想通貨で年間500万円の所得を出た場合、会社の給料に合算して計算することになるので、課税所得が増え、所得税の税率が上がり、税額も上がります。

11,000,000(会社+仮想通貨) x 0.33(税率) – 1,536,000(控除額) = 2,094,000円(所得税)

さらに、課税所得が増えると住民税も増えます。600万円の住民税は60万円でしたが、1100万円の住民税は110万円となります。

仮想通貨とFXの税率の違い

ちなみに、FXで得た所得も「雑所得」となりますが、仮想通貨とは違い「申告分離課税」となっており、税率は一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)となっています。

国税庁:外国為替証拠金取引(FX)の課税関係

「分離課税」とは他の所得と合算せずに、分離して課税するということです。つまり、会社の給料とは合算せずに、FXで得た所得のみに対して一律20.315%が課税されるということです。つまり、累進課税から逃れられるということです。

ただし、「分離課税」でも「申告分離課税」なので、自分で確定申告で申告納税する必要があります。

仮想通貨とFXの税制の違いをざっくりとまとめると以下のようになります。

仮想通貨 FX
所得税の分類 雑所得 雑所得
課税の仕方 総合課税(他の所得と合算) 申告分離課税(他の所得と分離)
税率 所得税5〜45%+住民税10% 一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

正直、税制はすごく難しいです。私もかなり勉強しましたが、まだまだ分からないことも多いです。

しかし、投資をするなら、税制のことをそれなりに知っていないと、あとで痛い目に合うのも事実です。

投資活動にとって税金の知識は必須と言えます。

投資に関する税金の本でオススメなのはこの本です。

この本では「総合課税の雑所得が最悪」と書いていますが、まさに仮想通貨の税金はそれなのです・・・。

また、仮想通貨の税金の計算はかなり難しいです。

私が仮想通貨のトレードに踏み出せないのも「税制」と「税金の計算のハードルの高さ」があります。

国税庁は仮想通貨の税金の計算方法について情報公開していますが、正直、これを読んでも自分で計算できる自信がありません・・・。

住民税は前年の所得に対して、翌年の6月から翌々年の5月に渡って支払う(時間差がある)

確定申告で納税したからといって、税金の支払いは終わりではありません。

というのも、確定申告で申告するのは前年度の所得に対する「所得税」のみだからです。

「住民税」は前年の所得に対して、翌年の6月から翌々年の5月に渡って1年間で支払います。

なので、仮想通貨で儲かったからといって、全部を使ってしまっては税金の支払いができなくなります。

特に、住民税は翌々年まで支払いが続くので、しっかり手元に現金を残しておく必要があります。

住民税は翌年6月に一括払いもできますが、キャッシュ(現金)はできるだけ手元に置いておいた方がいいですし、ビジネスでは支払いは後にするほど良いので、一括払いよりも毎月支払った方がいいと私は思っています。

住民税はコンビニでも支払えますし、「eLTAX」を使えば自宅のパソコンからでも銀行振込で支払うことができます。

追伸:国税庁が仮想通貨巡る不正初を初公表(2018年11月30日)

日本経済新聞の記事に仮想通貨関連の脱税のニュースが出ていました。

所得税申告漏れ 1.7%増の9038億円 6月までの1年、仮想通貨巡る不正初公表:日本経済新聞(2018/11/30)

国税庁は29日、2018年6月までの1年間(2017事務年度)に実施した所得税の税務調査の結果を発表した。全体の所得税の申告漏れ総額は9038億円で16事務年度に比べ1.7%増えた。今回は仮想通貨取引で得た利益を適切に申告していなかった不正事案を初めて公表した。

公表された仮想通貨取引をめぐる事案は、会社員男性が複数の仮想通貨交換会社に自分や妻名義の口座を開設したが、妻名義などの利益を申告しなかった。東京国税局は男性に約5千万円の申告漏れを指摘、重加算税を含め約2400万円を追徴課税した。

妻名義で作った口座の利益を申告せず、5000万円の申告漏れで重加算税を含め約2400万円を追徴課税ということです。

5000万円も儲かっていること自体がすごいですが、5000万円ということは所得税と住民税で税率は55%となります。

税金を払わずに、高級車や高級マンションなどを買ってしまうと、追徴課税で2400万円の支払いができなくなります。

さらに、脱税した記録は残るので、今後、住宅ローンなどのローン審査には通らなくなると思われます。

今後、この手のニュースはどんどん増えてくると思われます。

どんな投資をするにせよ、投資で成功するための知識だけでなく、税金の知識も必要となります。

高税率を考えると、仮想通貨への投資はあまり旨味がないと個人的には思っています。

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