本日の日経新聞に仮想通貨の課税逃れについての記事がありました。
仮想通貨取引 課税逃れ防ぐ 財務省検討 電子申告を充実/業者に情報照会:日本経済新聞(2018/10/30)
財務省は仮想通貨取引をめぐり、所得税の課税逃れを防ぐ対策を強化する。利益を得た人が自主的に納税しやすいよう電子申告システムを充実させるとともに、悪質な申告漏れが疑われる場合、仮想通貨交換業者に取引した個人の情報を照会できる仕組みを整える案などが浮上している。きちんと税金を払っている人との不公平が広がらないようにする狙いだ。
仮想通貨の売却などで生じる所得は「雑所得」として基本的に確定申告の対象となるが、税務署への申告で「仮想通貨による収入がある」と判明している人は17年は331人にとどまっている。
日本で仮想通貨が一般レベルで注目を浴びたのは2017年です。
2017年末に、ビットコインやアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)が急激に値上がりし、テレビや雑誌などでもよく特集されていました。

運良く、高値で利益確定できた人はかなりの額を稼げたと思います。
ただし、2018年に入ってから、どのコインも大幅に下落し、その後は横ばい状態が続いているので、損切りできずに大きな含み損を抱えたまま、コインの価格が元に戻ることを祈っている人も少なくないかもしれません。
仮想通貨の売買益は「雑所得」となるので、給与所得者(サラリーマンやOL)は給与以外に20万円以上の所得がある場合は、自分で確定申告する必要があります。
仮想通貨で年間20万円以上の利益を得たのに、確定申告しなかった場合、脱税行為に当たります。
仮想通貨元年は2017年なので、おそらく3〜5年後に当たる2020〜2022年頃に、世間を揺るがすような仮想通貨による脱税ニュースが多く出るのではないかと私は予想しています。
というのも、税務署は3年くらい泳がすからです。脱税が分かっても、すぐに告知しません。数年泳がせます。
FXのミセス・ワタナベの代表格である池辺雪子さんも、2002〜2005年の3年間で4億4000万円もの大金を稼いだけど納税しなかったため、2007年に脱税として起訴されて有罪判決となりました。
FXの脱税は他にも何人か話題になりましたが、こういった人の仮想通貨版が2020〜2022年頃にそれなりの数出てくるのではないかと思っています。
脱税として起訴されて有罪判決となると、本来支払うべき「所得税」だけでなく、「延滞税」「重加算税」「住民税」「罰金」なども請求され、とんでもない金額となります。
池辺雪子さんの場合も、3億1900万円の請求のうち、「所得税」が1億3900万円に対し、「所得税」以外の請求額が1億8000万円と半分以上(56%)となっています。
「延滞税」の税率は2ヶ月程度なら年率7.3%ですが、2ヶ月以上になると14.6%と消費者金融の金利並になります。
延滞税の計算方法は以下の図のように期間(日数)も加味されるので、泳がせば泳がすほど多くの延滞税を取れます。

税務署も国税も暇じゃないので、ある程度の額を取れると分かった時点で起訴します。そのため、脱税が分かったとしてもすぐに起訴されず、数年泳がされます。
このあたりの詳細は以下の本に書いてあります。
脱税の場合、稼いだお金を使ってしまって手元にお金がなくても見逃してもらえません。一生かけて支払うことになります。
借金と違い、自己破産もできません。
さらに、脱税の記録はその後も残るので、全額支払ったとしてもその後の人生で色々と苦労すると思います。たとえば、住宅ローンの審査に通らなかったりなどなど。
私の友人の経営者が住宅ローンを組んだ時に、銀行の担当者に「どんなに収入が多い人でも、税金をちゃんと支払わない人にはお金は貸さない」とはっきりと言われたそうです。実際、支払った税額を過去3年にわたって詳細にチェックされたそうです。
税金をちゃんと支払ったという事実が信用になるということです。
もし、仮想通貨で得た売買益を確定申告していないなら、最寄りの税務署に行って、早めに自分から申告した方がいいと思われます。
日本は高齢化で納税者が減っており、以前にようにお金に余裕がなくなっているので、税金や社会保障の取り立ては非常に厳しくなっています。
私が仮想通貨のトレードに手を出さない理由に、仮想通貨で得た売買益は「雑所得」扱いということもありますが、税金の計算が難しそうという理由があります。
一方、FXや株式投資は一律20%の分離課税ですし、税金の計算も簡単です。
信託保全として別の場所に資金は保管されているので、口座のお金が盗まれる心配もありません。
仮想通貨のトレードをやっている人は、トレードの知識と同じくらい税金の知識も必須だと思います。