2025年8月に出版された「株で儲けたきゃ「社長」を見ろ! いちばん大切なのに誰も教えてくれない投資の王道」を読みました。
株式投資について書かれた書籍は数多くありますが、社長にフォーカスした本は珍しいのでしょうか?
内容も会計本などとは違い、1〜2日でサクッと読めるカジュアルなものとなっています。
社長にはどんな人がいるのかを理解しながら、自分の人生を振り返ることにも使えました。
本書を読んだ上で、個人的に気になった箇所をいくつかピックアップしてみたいと思います。
- 著者の株の師匠・片山晃は「株で儲けたければ、変化する会社に投資することが重要」と言っている。そして、会社に変化を最大限もたらすことができるのが社長。
- 著者が働いていた株式会社ZOZOの社長・前澤友作(40%ほどの株主)は一晩何百万円にもなる飲食費を接待交際費として経費で落とすことはなかった。経費で落としてしまえば、そのぶん会社の利益は減り、株価も下がる。その結果、自身の資産も減る。自社の株式を多く保有する社長にとって、会社の経費で落とすより自腹を切る方がお得。
- 会社の株をほとんど持たないサラリーマン社長が会社の経費で豪遊するのは言語道断。日産自動車のカルロス・ゴーンが失脚した後、自分の結婚披露宴やヨットクラブ会費、果ては自著を大量に経費で購入して印税は自分が受け取っていたことが報道された。
- 社長就任当初はどれほど優秀でマトモな人物であっても、長期間トップの座に居続けると謙虚さを維持することは難しい。周囲はイエスマンばかりで権力も絶大となり、いつの間にか会社を私物化。その転換点となるのが、70〜75歳ごろ。この年齢を超えてもトップに居座り続けるサラリーマン社長は不本意な辞任などの悲しい結末になることが多い。
- 男性社長の場合、学生時代に運動部のキャプテンをしていたり、大会で活躍していたりして、「モテる経験」をしてきたひとは自己肯定感が高く、強い劣等感やコンプレックスを抱えにくく、承認欲求をこじらせることも少ない。
- 学生時代に全くモテずに悔しい思いをしてきた人が、20代後半から30代以降になって起業や仕事で成功を収めてお金や名声を手にしたとき、歪んだ承認欲求が突然吹き出して問題を起こすことがある。
- 著者が事業継承で最悪だと感じるているのが父親が娘に社長を継がせるパターン。父が娘に対して適切な距離感を保つが難しいから。父親は娘に対して甘くなり、構いすぎてしまう。大塚家具やスノーピークの例。
- 著者が仕えた有名社長は「さん付け」と「呼び捨て」を使い分けていた。プロ枠の人には「さん付け」、子分枠の人には「呼び捨て」。役職や年齢は関係なく、幹部クラスでも子分枠に入る人がいた。
- うまい社長は6〜7割が達成可能な目標設定をし、「達成できない自分はまずい」という同調圧力が働くように仕向ける。「達成する人が素晴らしい」のではなく「達成できない自分が恥ずかしい」という空気を作る。一方、二流社長は明らかに達成不可能な高すぎる目標を押し付け、社内を「こんな数字、どうせ達成できない」と諦めムードにさせる。
- 日本では順調な人生を送ってきた普通の人が起業を選択肢として選ばない。大企業のサラリーマンという立場は収入や信用でかなり快適。起業というリスクを選ぶのはそうじゃない人。欠落感とも言えるフラストレーションが世の中を自分の思うように変えてやろうという強烈なエネルギーに変換される。
- 上場直後にVCが保有株を売り払ってしまうと上場ゴールになるケースがある。VCにとって投資先企業の上場は大きな節目であり、リターン回収の絶好のチャンス。結果的に上場後の株価がピークになり、その後も株価が伸び悩むパターン。
- 上場してすぐに創業者のモチベーションが途切れてしまい上場ゴールになるケースもある。時価総額100億円の会社で創業者が株式を30%持っていれば、個人資産は30億円になる。株を売らなくても、資産の半分くらいは株を担保にして融資で現金に変えることもできる。「お金持ちになりたい」「異性にモテたい」といった飢餓感は強烈なモチベーションになるが、その多くは上場することで叶えられてしまう。
- 上場後すぐに社長が書籍を出版すると、そこで金銭欲と自己顕示欲が同時にある程度は満たされてしまい、上場ゴールになりがちな典型的なシグナルとなる(初の著書出版の法則)。
- 株主とは社長の悩みを一緒に解決する存在。「Put yourself in someone else’s shoes.(相手の靴に足を踏み入れろ)」人と深く関わり理解しようとする時、自分の都合や立場を一度捨てて、相手の靴を履き、その人になったつもりで、その人が見ているものや感情をありありと想像してくることが必要。
