2024年5月に出版された「ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門 「自分年金」を増やす最強の5ステップ」を読みました。
著者は個人投資家の「かんち」さんです。
1961年生まれなので、この本が出版された2024年時点で63歳で、投資歴40年以上のベテラン個人投資家です。
元消防士で49歳(2011年)という若さで早期退職し、その後は株式投資だけで生活しているそうです。
父親も祖母も株をやっていたので、株式投資は身近な存在だったようです。
消防士の給料は安かったけど、休日にパチンコで稼いでいたので、給料の大部分を投資に回すことができ、20代前半から始めた株式投資の資産は49歳の時には2億円近くあり、配当金だけで年間800万円ほどを得られる状態になったそうです。
現在の運用額は8億円、保有銘柄は高配当株や優待株を中心に約600銘柄、年間配当金は2000万円以上もあるそうです。
三重県にある祖母の実家を引き継いだので家賃がなく、生活費の多くを株主優待でまかなえるので、なかなか現金を使い切れないことが悩みという、なんとも贅沢な悩みを持っています。
平日は9時から1時間だけ相場を見て、その後はスポーツジムでテニスや筋トレ、水泳、サウナなどをして過ごしているそうです。
本書ではかんちさんが保有している銘柄もたくさん掲載されているので、悠々自適な老後を過ごしたい人にはすごくオススメな株本となっています。
現金より投資、短期より長期、株を貯める
- 短期ではなく長い時間軸で投資する。自分の力ではなく、株自身が持っている増える力を信じるのが投資の鉄則。
- 現金を貯める「貯金」ではなく、株を貯める「貯株」を強く意識する。頻繁に売買するのではなく、貯金のように貯株する。地道に株を買い続け、基本的に売らずに保有しておく。
- 証券口座にあるお金は全て株に投資するフルポジションなので、そもそも頻繁に売買できない。現金で保有すると資金を寝かせておくことになる。機会損失を回避するため、ほぼ全資金を投資に回し、最大限お金に働いてもらう。
- 「節約する → お金が貯まる → 株を買う → 優待で生活コストが下がる → 節約する → さらにお金が貯まる → 株を買う」というサイクルに喜びを感じる。
銘柄選びの5ステップ
- 配当利回り3.5%以上でスクリーニング。めぼしい銘柄が見つからない時は3.0%以上で探す時もある。
- 配当利回りが高いという理由だけで選ばず、増収増益・増配の銘柄だけを絞り込む。減益している企業は減配する可能性もある。
- 「PER × PBR = 15倍超」の割高銘柄を除外する。PER10倍以下、PBR1倍以下を割安株の目安とする。
- 一時的な要因で株価が上がった銘柄を除外。従業員解雇や資産売却などで一時的に利益が上がることがあるため。
- 厳選した銘柄を株価が下がったところで買う。株価が安値圏にあるかチェック。株価が下がれば配当利回りが高まる。公募増資、社員の横領、社長の不祥事などの一過性の悪材料で株価が下がった時は買いのチャンス。
株式投資への向き合い方、投資メンタル、豆知識
- 投資割合は高配当株5、優待株3、成長株2。
- 過去の配当履歴をチェックして、業績が上がっているのに増配しない銘柄は買わない。
- いいなと思った銘柄でも株価が高すぎる場合は買わない。「ここまで下がったらこれだけ買おう」と事前に決めておく。株価が下がった時こそ買うべきタイミング。
- 業績が上がって株価が上がっても、配当額が変わらなければ以前と比較して低配当になる。このケースでは売却して、資金を他の高配当銘柄に回す時もある。
- 減配になっても、純利益が落ち込んだことによる減配なら配当性向は変わらない。また業績が復活すれば増配になるはずなので売らない。
- 優待が改悪したら売る。株主優待を一度でも改悪した企業は、その後もどんどん改悪を続け、最後には優待廃止にする可能性もあるから。経営者が変わったとしても、「そういうことをする会社のDNA」はそう簡単には変わらない。
- 利益の出ている株から次々と利益を確定しまうと、ポートフォリオがうだつの上がらない銘柄ばかりになってしまい、ピーター・リンチが言う「花を引き抜き、雑草に水をやる」ような投資になってしまう。含み損を抱えた銘柄(雑草)を間引くことで、大輪の花を咲かせることが重要。
- 株価の上下動に焦って売り買いするのが一番ダメなやり方。株価が上がれば嬉しいし、下がったとしても配当を出してくれる限りは保有し続ける。
- 株式投資は「どの銘柄を買うか」「いつ買うか」「いつ売るか」に集約されるが、一番難しいのが「いつ売るか」。
- 公募増資は企業が新たに株式を発行する際、一般の投資家から株主を募って増資する方法。銀行融資と違い返済義務がない資金調達となるので、リスクが高い、あるいは長期的な事業への投資へとあてやすい。また、公募増資をすることで財務指標が改善し、会社の信用度は上がる。さらに、株式数が増加するため、市場での流動性が高まる。将来を見通した上で実行するので、今後業績を伸ばしていくための原動力となる。デメリットは株式の希薄化。株式を新規発行するので、1株あたり純利益が減少し、既存株主にとっては配当金の減少を意味する。
- 四季報は毎号買っているが場所を取るため、夏号だけ保管している。夏号は3月期決算の会社が本決算を発表した後の最初の号であり、実績と来季予想が載っている投資家にとって一番人気が高い号。
