去年読んだ川口宏之さんの「ビジネス基礎体力が身につく 決算書を読む技術」がすごく内容が良かったので、川口宏之さんの最新作である2025年1月に出版された「サクッとわかるビジネス教養 決算書」を読んでみました。
川口宏之さんは大手監査法人、上場企業の会計監査業務、証券会社でIPO審査、ベンチャー企業でCFOと公認会計士として様々な側面から業務に携わった経歴を持っています。
そのせいか、他の著者の会計本と比べて、視野の広さを感じます。
2025年の年末から2026年の年始にかけて、川口宏之さんの本を数冊読み、私の会計知識もワンランクアップできました。
以下に、個人的に新たに勉強になった項目をメモっておきたい思います。
目次
貸借対照表(B/S)の純資産の中身と包括利益
| 純資産(返済の必要のない元手) | |||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 新株予約権(ストックオプションなど) | |||||||||||
| 非支配株主持分(子会社の資本のうち親会社の持分でない部分)※連結決算の場合 | |||||||||||
|
- 「純資産 ≧ 自己資本 ≧ 株主資本」という関係。
- 新株予約権がなく、個別(単独)決算なら「純資産=自己資本」。
- その他包括利益累計額の表示がない貸借対照表では「純資産=株主資本」。
- IFRS(国際財務報告基準)は資産・負債の時価評価を重視するので、それらの含み益などを含む「包括利益」の表示が求められる。
- 包括利益は「純資産の変動額」で保有する資産の含み損益のこと。「含み」なので、まだ確定していない損益。この含み損益を当期純利益に加えたものが包括利益。
- 為替レートや株価の変動によって価値が増減するのに、株式や土地の含み損益、海外子会社が保有する資産を円換算した際に生じる損益なの、確定はしてないけど損益が発生する可能性のある利益を財務諸表では「その他の包括利益」と呼ぶ。
- 当期純利益が1年間の事業活動によって最終的に手元に残った利益(損失)であるのに対し、包括利益は会社の純資産の1年間の増加分(減少分)。
- 包括利益が財務諸表に書かれるのようになったのは2011年以降。日本企業でIFRSを採用する企業が増えてきたから対応。
短期間の支払能力を読み取る流動比率と当座比率
流動比率
流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
※流動資産(1年以内に現金化できる資産)・・・現金、預金、受取手形、売掛金、在庫の商品、製品(棚卸資産)など
※流動負債(返済期間が1年以内の負債)・・・買掛金、支払手形、短期借入金、未払金、前受金など
当座比率
当座比率(%) = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100
※当座資産・・・現金・預金と流動資産の中で最も換金性が高い売上債権(受取手形・売掛金)
- 流動比率の数値は高いほど良く、一般的に100%を超えて120〜150%くらいあれば安心。100%を下回ると支払能力の不安あり。
- 流動比率が高すぎるのも、資金が有効活用されずにムダに遊んでいることになり良くない。
- 短期の支払能力をもっとシビアに見る時に当座比率を使う。
長期間の支払能力を読み取る固定比率と固定長期適合率
固定比率
固定比率(%) = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100
※固定資産(1年以内に現金化しにくい換金性が低い資産)・・・土地、建物、機械、車両運搬具など
※自己資本(外部に返済の必要がないお金)・・・資本金、資本剰余金、利益剰余金など
固定比率が100%超なら以下の「固定長期適合率(固定資産が安定した資金でまかなえているかを見る指標)」もチェック。
固定長期適合率
固定長期適合率(%) = 固定資産 ÷ (自己資本 + 固定負債) × 100
※固定負債・・・長期借入金、退職給付引当金など
- 固定資産は土地、建物や工具器具備品など資金が長期にわたり固定化するものなので、その資金は「返済の必要がない純資産」と「流動負債よりも返済期限が先の固定負債」でまかないたいところ。固定資産よりも純資産・固定負債が多ければ長期的な支払い能力が高いことになる。
- 固定比率は会社が長く保有する土地や建物、機械などの固定資産の購入を外部からの借金に頼らず自己資本だけでどれだけまかなっているかを示す指標。100%以下なら固定資産を外部からの借金に頼りすぎずにまかなえている。
- 固定長期適合率は固定資産をまかなうお金に長期的に安定した負債である固定負債を加えても良いという指標。100%以下ならひとまず安心。100%超なら固定資産をまかなうのに短期借入金など返済期限の短い借金に頼っていることになり危険。
財務三表(P/L、B/S、C/F)はつながっている
- 損益計算書(P/L)の税引前当期純利益 → キャッシュ・フロー計算書(C/F)の営業キャッシュフロー
- 損益計算書(P/L)の当期純利益(一部は配当へ) → 貸借対照表(B/S)の純資産の利益剰余金
- キャッシュ・フロー計算書(C/F)の財務キャッシュフローの現金及び現金同等物の期末残高 → 貸借対照表(B/S)の資産の部の現金及び預金
- 損益計算書(P/L)は実際のキャッシュの動きに関係なく、収益や費用の取引が発生する時点で計上する発生主義。
- キャッシュ・フロー計算書(C/F)は取引の発生に関係なく、入出金など現金の動きがあった時点で計上する現金主義。
