金融業界ではFTXショックが話題で、元CEOのサム・バンクマン・フリード(SBF)氏の杜撰な経営がどんどん明るみに出ています。
当サイトでもFTXショックの展開を時系列で追っています。
現在、サム・バンクマン・フリード氏は以下の8つの罪で刑事告発されています。
- FTXの預金をアラメダの経費や債務の支払いに使うことを知っていた。(顧客に対する電信送金詐欺)
- 顧客の預金を不正に流用した。(顧客に対する電信送金詐欺)
- 虚偽の口実で資金調達を行った。(貸金業者に対する電信詐欺)
- 融資を受けるためにFTXの業績、保有資産、準備金について嘘をついた。(貸金業者に対する電信詐欺)
- FTXはコモディティとデリバティブを販売したが、入ってきた資金をすぐに他の取引など他の用途に流用した。(コモディティ詐欺)
- SBFは事業に関する重大な虚偽の情報を記載した電子メールをニューヨークの投資家に送信した。(証券詐欺)
- 取引の目的がマネーロンダリング法の回避であることを知っていたにもかかわらず、FTXが金融取引の実行を手助けした。(マネーロンダリング)
- SBFは自身の寄付への関与を隠すために他人の名前で寄付を行った。(選挙資金規正法違反)
ロイターによると、8つの罪すべて有罪判決を受けると、最長で115年の禁固刑となるそうです。
FTX創業者、詐欺罪などで起訴 バハマ裁判所は保釈申請拒否 | ロイター(2022年12月14日)
検察当局によると、被告は8つの訴因全てで有罪判決を受けた場合、最長115年の禁錮刑に直面する可能性がある。
115年の禁固刑ということは、今後、死ぬまでずーと刑務所で過ごすということです。
サム・バンクマン・フリード(SBF)氏の刑期は何年になるのか?
ツイッターで過去の似た罪状の事件から刑期を考察している人がいたので、日本語に訳してみました。
過去の似た罪状の事件からサム・バンクマン・フリード(SBF)の刑期を考察
https://twitter.com/GRDecter/status/1602810309533736961
サム・バンクマン=フリードは刑務所に何年入れられるのか?
似たような罪状の事件をいくつか調べてみました。
その結果わかったことは、以下の通りです。
最大で、サム・バンクマン=フリードは残りの人生を刑務所で過ごす可能性があります。
彼の罪の多くには厳しい量刑ガイドラインがあります。
例えば、電信詐欺の場合、最高刑は20年です。
つまり、8つの訴因すべてで有罪になれば、彼の刑期は100年以上となる可能性があるのです。
しかし、最も可能性の高いシナリオは何でしょうか?
似たような容疑のケースをいくつか調べてみました。
Perhaps the most infamous fraud case of all-time is Bernie Madoff.
He pleaded guilty to 11 felonies. 3 of those charges overlap with SBF’s charges: Wire fraud, securities fraud, and money laundering.
Madoff was sentenced to 150 years in prison. pic.twitter.com/jcXYQxl8kQ
— Genevieve Roch-Decter, CFA (@GRDecter) December 13, 2022
おそらく、史上最も悪名高い詐欺事件はバーニー・マドフだろう。
彼は、11の重罪を認めました。そのうちの3つの罪状は、SBFの罪状と重なっています。
電信詐欺、証券詐欺、マネーロンダリングです。
バーニー・マドフは150年の禁固刑を言い渡されました。
James Paul Lewis Jr ran one of the largest Ponzi schemes in history (smaller than Madoff’s, though)
He pleaded guilty to money laundering and wire fraud after collecting $311 million in funds from investors over 20 years for his Ponzi scheme.
He was sentenced to 30 years. pic.twitter.com/nqq0IVngU1
— Genevieve Roch-Decter, CFA (@GRDecter) December 13, 2022
James Paul Lewis Jrは史上最大のねずみ講の1つを運営していた(Madoffより小さいが)。
ねずみ講のために20年以上にわたって投資家から3億1100万ドルの資金を集めた後、マネーロンダリングと電信詐欺で有罪を主張した。
30年の刑を宣告されました。
Why was his sentence so light?
He cooperated with authorities and gave information on others at his company who committed crimes.
He even wore a wire so that prosecutors could record conversations for evidence. pic.twitter.com/CaG3LhG7X7
— Genevieve Roch-Decter, CFA (@GRDecter) December 13, 2022
Jordan Belfortは、他の多くの人に比べて比較的軽い刑期でした。
彼は証券詐欺とマネーロンダリングの罪を認め、わずか22ヶ月の刑期を言い渡されました。
彼は被害者から1億1千万ドル以上を盗みました。
なぜ刑期がこんなに軽いのか?
彼は当局に協力し、同じ会社で犯罪を犯した者の情報を提供しました。
検察が証拠として会話を録音できるように、盗聴器までつけていました。
And this one from just a month ago: Laundering money obtained from a fraud scheme got this guy 45 months (3.75 years) in prison. pic.twitter.com/3RcKbRqsbF
— Genevieve Roch-Decter, CFA (@GRDecter) December 13, 2022
あまり有名ではないケースはどうだろうか。
数ヶ月前、ロバート・シリロというカリフォルニアの株式ブローカーが、320万ドルの投資詐欺を働いたとして、6年半の禁固刑を言い渡された。
罪状は証券詐欺と税金詐欺でした。
そして、ちょうど1ヶ月前のこの一件。詐欺で得た金を洗浄したため、この男は45ヶ月(3年9ヶ月)の禁固刑に処された。
So Sam’s only options for avoiding a lengthy prison sentence are cooperation or fighting the charges.
His attorneys are no doubt testing the waters on a plea deal – but prosecutors won’t offer a friendly deal, even if Sam can provide something incriminating on other defendants.
— Genevieve Roch-Decter, CFA (@GRDecter) December 13, 2022
今回のような事件の場合、2つの主要な変数があるように思われます。
1つ目は関与した金額、2つ目は協力の度合いです。
FTXの詐欺容疑はすでに史上最大級です。100億ドルから200億ドルの範囲に入ると思われます。
だから、サム・バンクマン・フリード(SBF)が長期の実刑判決を避けるためには、協力するか、告訴を争うかしかありません。
彼の弁護士は間違いなく司法取引の事前調査をしています。
しかし、検察は、たとえサム・バンクマン・フリード(SBF)が他の被告の証拠となるものを提供できたとしても、友好的な取引を申し出ることはないだろう。
Sam is being held in the Bahamas without bail until his next court hearing in February.
However, he could be extradited to the United States before then to face his charges. If you want to know everything Sam was charged with, read this:https://t.co/uyxqESrVs7
— Genevieve Roch-Decter, CFA (@GRDecter) December 13, 2022
被告人が裁判になる前に有罪を認めれば、一般的に刑は軽くなります。
特に注目度の高い事件では、裁判で有罪になった場合、被告人が軽い判決を受けることはほとんどありません。
サム・バンクマン・フリード(SBF)は、2月の次の法廷審問まで保釈金なしでバハマに拘束されています。
しかし、その前に米国に送還され、罪状に直面する可能性もあります。
以上です。
ちなにみ、バーニー・マドフ事件は映画にもなっています。
私はレンタルして見てみましたが、最初から最後まで暗い雰囲気に覆われた映画でした。
また、サム・バンクマン・フリード(SBF)は12月21日にバハマから米国へ送還され、12月23日に保釈され、今はおそらくカリフォルニア州パロアルトの両親の実家にいます。