FXで絶対に避けなければいけないことは強制ロスカット(=口座内の資金を全て溶かしてしまうこと)です。
強制ロスカットされてしまったら、FXはそこでゲームオーバーです。
再開するには、再度、口座に入金する必要があります。
「お金」と「もう一度挑戦する気持ち」が残っていればですが・・・。
目次
FXの強制ロスカットで150万円を溶かした友人の話
リーマン・ショック前、私の友人はFX口座に150万円ほど入れて、スワップポイント狙いで南アフリカランド円をBUYしていました。
銀行預金の利息がほとんど付かない日本において、当時の南アフリカランドは高金利通貨として魅力を放っていました。
その当時、私はまだFXをやっておらず、仕組みもいまいち理解していなかったのですが、管理画面を見せてもらったら損益がマイナスになっていたのでそれ指摘すると、友人は次のように答えました。
「今はマイナスだけど毎日スワップポイントという利息みたいな収入が入ってくるから大丈夫。いずれ、損益がプラマイゼロになったらスワップポイント分だけ儲かるから。損益がプラスになれば、キャピタルゲインとインカムゲインの両取りだから。そもそも、投資しないことが機会損失だから。」
その半年後、リーマン・ショックが起こりました・・・。
私はふと南アフリカランド円でFXをしていた友人のことを思い出し、メールしてみました。
「その後、FXはどんな感じなの?」と。
すると、友人からこんなメールが返ってきました。
「リーマン・ショックで為替レートが予想もしないほど大きく動いて、入金した150万円がほぼ溶けちゃった・・・」
つまり、友人は強制ロスカットされたのです。当時の私は強制ロスカットという言葉さえ知りませんでしたが・・・。
FXをやるにあたり、強制ロスカットにかからないために気をつけるポイントを事前に知っておくことは非常に重要です。
最重要項目といっていいくらいなのに、多くの人はあまり理解せずにFXデビューしてしまいます。そして、入金額ほぼ全て溶かしてしまうのです・・・。
特に、注意すべきポイントは5つあります。
この5つの注意点を知らないと、「投資で機会損失」どころか「投資で損失」を被ってしまいます・・・。
強制ロスカットのリスクは入金額・レバレッジ・ロット数でコントロールする
強制ロスカットにかかるリスクを減らすには、以下の3つの要素を自分でコントロールすることが重要です。
- 入金額
- レバレッジ
- ロット数(枚数)
言葉で説明するよりも、図で説明した方が分かりやすいと思ったので、図を描いてみました。
上記の図は、入金額10万円、レバレッジ25倍、ロット1.0(10万通貨)の場合です。(10 × 25 ÷ 1 = 250)
強制ロスカットラインが上下にありますが、為替レートが自分の想定と逆にここまで動いたら強制ロスカットされます。つまり、ゲームオーバーです。
上昇すると思ってドル円をBUYしたのに、想定に反して下の強制ロスカットラインまで為替レートが下落してしまったら強制ロスカット(ゲームオーバー)です。
下落すると思ってドル円をSELLしたのに、想定に反して上の強制ロスカットラインまで為替レートが上昇してしまったら強制ロスカット(ゲームオーバー)です。
実際に上記の条件でトレードすれば分かりますが、レバレッジ25倍で10万円しか入金していないのに、ロット1.0(10万通貨)でトレードしていたらかなりの確率で強制ロスカットラインにかかってしまいます。
強制ロスカットにかかるリスクを減らすには「入金額を増やす↑」か「レバレッジを上げる↑」か「ロット数を減らす↓」かしかありません。
たとえば、入金額を2倍に増やしたり、レバレッジを2倍に上げたり、ロット数を半分に減らしたりすると、為替レートと強制ロスカットラインの距離も2倍になり、強制ロスカットにかかる確率を下げることができます。
上記の図では、為替レートと強制ロスカットラインの距離が長くなった結果、強制ロスカットにかかる確率が減ったので、先程よりも心に余裕を持ってトレードと向き合えます。
- 最初の状態 → 入金額10万円、レバレッジ25倍、ロット1.0(10 × 25 ÷ 1 = 250)
- 入金額を増やす → 入金額20万円、レバレッジ25倍、ロット1.0(20 × 25 ÷ 1 = 500)
- レバレッジを上げる → 入金額10万円、レバレッジ50倍、ロット1.0(10 × 50 ÷ 1 = 500)
- ロット数を減らす → 入金額10万円、レバレッジ25倍、ロット0.5(10 × 25 ÷ 0.5 = 500)
日本のFX業者はレバレッジ最大25倍なので、レバレッジを上げることはできませんが、私が利用している海外FX業者のXM(エックスエム)はレバレッジ最大888倍です。
レバレッジ25倍と888倍では35.52倍も違います。(888 ÷ 25 = 35.52)
つまり、最初の状態(入金額10倍、レバレッジ25倍、ロット1.0)と比較すると、為替レートと強制ロスカットラインの距離が35.52倍になるということです。
図で描くとすごく縦に長くなってしまうので描きませんが、紺色の部分の縦の長さが35.52倍になるということです。
つまり、強制ロスカットにかかる確率が35.52倍ほど低くなるということです。
最後に今までの話をもう一度以下にまとめます。
【重要】青い文字の「=」の後の数字が大きくなるほど強制ロスカットの確率が減る(=為替レートと強制ロスカットラインの距離が長くなる)ということです。
- 入金額10万円、レバレッジ25倍、ロット1.0でトレード → 10 × 25 ÷ 1 = 250
- 入金額を2倍に増やす → 入金額20万円、レバレッジ25倍、ロット1.0でトレード → 20 × 25 ÷ 1 = 500
- 入金額は増やさずレバレッジを上げる → 入金額10万円、レバレッジ888倍、ロット1.0でトレード → 10 × 888 ÷ 1 = 8880
- 上の条件でロットを1/10に減らす → 入金額10万円、レバレッジ888倍、ロット0.1でトレード → 10 × 888 ÷ 0.1 = 88800 ←今現在、私がXMでやっている条件=ほとんど強制ロスカットにかかる確率はない
入金額を増やすのは大変です。お金を潤沢に持っていればいいですが、多くの人はそうではないと思います。
私もマンションを買って頭金にまとまった金額を支払った関係で、今は余裕資金があまりありません。
日本のFX業者であるOanda Japan(オアンダジャパン)を利用していた時は300万円を入金して0.1〜0.3ロットでトレードしていました。
なぜなら、レバレッジ25倍だと300万円くらい入れておかないと強制ロスカットにかかるリスクが高いと思っていたからです。(300 × 25 = 7500)
一方、いま利用しているXM(エックスエム)はレバレッジが888倍なので10万円しか入金していません。(10 × 888 = 8880)
入金額が10万円でもレバレッジが大きいので、十分な余裕を持ってトレードに取り組めます。
年に1〜2度、為替レートは想定以上に動き、多くの人が強制ロスカットにかかって退場する
なぜ、為替レートと強制ロスカットラインまでの距離に十分な余裕が必要なのか?
それは、年に1度か2度、為替レートは想定外に大きく動く場合があるからです。
直近では2019年1月3日、ドル円は誰もが想像しなかったほど大きく円高に動きました。
上のチャートは5分足なので、たった10分ほどで108円台後半から104円台前半まで4円以上も円高になりました。
その結果、多くの人が強制ロスカットされてしまいました。
私も2018年後半からドル円のBUYエントリーを保有していたのですが、私は為替レートと強制ロスカットラインの距離に余裕を持っていたので強制ロスカットはされずに済みました。
というのも、ドル円が1ドル60円ほどの円高にならないと強制ロスカットされないような状態でトレードしていたからです。
ドル円が1ドル60円になることはまずありません。つまり、すごく余裕を持った入金額・レバレッジ・ロット数だったのです。
一方、余裕がない状態(為替レートと強制ロスカットラインの距離が近い状態)でトレードしていた人は、朝起きたらFX口座の中のお金がなくなっていたのです・・・。
私の友人がリーマン・ショック時に南アフリカランド円で150万円を溶かしてしまったように。
ちなみに、強制ロスカットラインの計算方法の仕方は以下の記事で詳しく説明しています。
【重要】↑この記事に書いてあることは、FXを始める前に必ず知っておくべきことです。
以上がFXで強制ロスカットを避けるために注意すべき3つの点(入金額・レバレッジ・ロット数)です。
この3点を自分でしっかりとコントロールしていけば、FXで予想外に全ての資金を溶かしてしまう可能性を減らすことができます。
ただ、個人的にはあと2つほど気をつけた方がいいと思う点がありますので、ここからはそれについて説明したいと思います。
上の3点よりも重要性は低いですが、知っていて損はないと思います。
スワップポイント狙いの高金利通貨は想定と逆に動きやすい
FXで利益を上げるには「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」があります。
「キャピタルゲイン」は「安い時に買って(=BUY)、高い時に売る」もしくは「高い時に売って(=SELL)、安い時に買い戻す」という取引のことです。これが一般的なFXのイメージだと思いますし、買い(=BUY)だけでなく売り(=SELL)でも利益を上げられるのがFXのメリットです。
一方、「インカムゲイン」はスワップポイント(スワップ金利)狙いの取引のことです。
スワップポイント(スワップ金利)とは利息みたいなもので、通貨ペアによってプラスもマイナスもあるのですが、プラスの場合は毎日加算、マイナスの場合は毎日減算されます。
トレーダーによってはプラスのスワップポイントが大きい通貨ペアを買います。つまり、スワップポイント狙いの投資です。
昔からスワップポイント狙いの代表的な通貨ペアとして、トルコリラ円や南アフリカランド円があります。
トルコリラや南アフリカランドといった高金利通貨と低金利通貨の日本円の通貨ペアです。
しかし、スワップポイント狙いの高金利通貨への投資は、含み損を抱えやすいという側面があります。
上記のチャートはトルコリラ円の月足チャートですが、2007年から10年以上も下落基調です。
なんと、99円台から15円台まで下落しています。
仮に、2011年に底を付いたと思ってトルコリラ円をBUYしても、その後もずるずると下落しているので、含み損は増える一方です。
人によっては、どこかの地点で強制ロスカットラインに届いてしまったことでしょう。
2019年10月時点ではそろそろ反発(=上昇)しそうにも見えますが、ここからさらに下落する可能性もあります。
今現在、強制ロスカットラインに届いてなくても、今後、さらに10円に向けて下落を再開したら、入金額を増やさないと強制ロスカットされてしまう人も少なくないと思います。
仮に、入金額を増やしたとしても、いつ含み損から含み益に変わるか分かりません。
もしかしたら、一生、含み損を抱えたままの可能性もあります。
インカム(スワップポイント)よりもキャピタル(含み損)の方が大きいので、いずれ耐えきれなくなり、自らロスカットするか強制ロスカットラインに刺さってゲームオーバーという投資家も少なくないと思われます。
南アフリカランド円も同様です。2005年からずーと下落基調です。
高金利通貨の為替レートが長期的に下落する理由は以下の記事に詳しく書いています。
スワップポイントの決まり方やスワップポイントが高い通貨ペアに関しては以下の記事に書いています。
というわけで、FXで強制ロスカットを避けるために注意すべき点に「スワップポイント狙いの高金利通貨を避ける」という点を付け加えたいと思います。
- 入金額
- レバレッジ
- ロット数(枚数)
- スワップポイント狙いの高金利通貨を避ける
FXで得られるスワップポイントはオマケみたいなものであって、FXはあくまでもキャピタルゲイン主体で行くべきだと私は考えています。
ただし、圧倒的な資金力を持っている人なら別です。
たとえば、資産何十億と思っている人がその一部の1億円をFX口座に入れて、ドル円が1ドル100円を割ったところでBUYして、その後ずーと保有しながらスワップポイントを得るのはいいと思います。
1億円も入金すれば大きなロットでエントリーしても強制ロスカットされることはありません。
また、昔は先進国通貨で高金利といえばオーストラリアドルやニュージーランドドルでしたが、今は米ドルが先進国で一番の高金利通貨です。
為替動向を当て続ける(=キャピタルゲインを出し続ける)のは難しいですが、スワップポイント(=インカムゲイン)なら毎日何もしなくてもお金が入ってきます。
お金に余裕がある人なら、円高時にスワップポイント狙いのドル円BUYはいい戦略だと思います。
メジャー通貨ペアの方が想定外の動きは起こりづらい
想定外の動きをする通貨ペアを避けることで、FXで強制ロスカットを避けられる確率を上げることができます。
たとえば、ドル円のようなメジャーな通貨ペアなら多くの場合1ドル100〜115円、どんなに動いても1ドル75〜125円といったイメージがなんとなく湧きます。
メジャー通貨ペアは多くの人が売買していて流動性も高いので、ボラティリティ(変動幅)も大きすぎず、予想外の動きをすることも少ないです。
まれに、2019年1月3日のようなことが起こりますが、それでも4円の変動ですし、すぐに戻しています。
5円変動しても耐えられるように入金額・レバレッジ・ロットをコントロールしておけばいいだけです。
一方、マイナー通貨の場合、過去の経験から変動幅が読みづらいという点があります。
流動性も低いので一気に動き出した時に、どこまで動くかも分かりません。
メジャー通貨の代表は「ドル円」と「ユーロドル」です。
次が「ユーロ円」「ポンド円」「オーストラリア円」などでしょうか。
私は現在は「ドル円」しかやっていませんが、将来的には「ユーロドル」にも挑戦したいと思っています。
なぜなら、最近のドル円は動きがなさすぎるからです。
ボラティリティ(変動幅)は高すぎても困りますが、低すぎても利ざやが取れないので儲かりません。
FXで儲けるためには、そこそこのボラティリティは必要です。
ユーロドルはドル円に比べて動きがありますし、世界で一番取引されている通貨でもあるので、流動性もしっかりとあります。
あまりレアな通貨ペアに手を出さずに、メジャーな通貨ペアのみを取引することも、強制ロスカットを避けることにつながると思います。
- 入金額
- レバレッジ
- ロット数(枚数)
- スワップポイント狙いの高金利通貨を避ける
- 流動性があり想定外の動きをしずらいメジャー通貨ペアのみトレードする
上記のことを理解したら、次は証拠金維持率を確認します。
FXをやっているのに、証拠金維持率について知らないトレーダーは入金額を溶かしてしまう予備軍のようなものです。
証拠金維持率については以下の記事で詳しく説明しています。