FX(為替取引)は土日以外なら祝日でも24時間取引できます。
9〜15時に市場(マーケット)が開かれる株式投資と違い、サラリーマンやOLが会社から帰宅してからでも取引できるので、会社員の副業としてFXをやっている人も少なくありません。
また、「ミセス・ワタナベ」という言葉も生まれたくらい専業主婦の方でもスキマ時間にFXをやっている人は意外と多いです。
FXは平日なら24時間ずーと取引可能ですが、24時間の中で取引が活発になる時間帯とならない時間帯があります。
取引が活発になる(=取引量が多い=流動性が高い)ということは、上下どちらかの方向へ為替レートが動きやすくなるということです。
つまり、取引が活発になる時間帯は大きな利幅を狙える時間帯ということになります。
今回は国別の為替取引が活発になる時間帯、そして24時間の中で一番取引が活発になる(=為替レートが動きやすくなる)時間帯について書いていこうと思います。
目次
国別の為替取引が活発になる時間帯
以下は、日本時間で見た場合の主要7ヶ国の為替取引が活発になる時間帯です。
ニュージーランドとオーストラリアもサマータイムを導入していますが、為替の世界では「欧州タイム」と「NYタイム」がメインになるので、あまり気にしなくていいと思います。
上の画像にも書いてますが、取引が最も活発になる時間帯は、ロンドン市場とニューヨーク市場が重なり合う20:00〜2:00の間です。
特に、21:00〜1:00くらいが相場が一番動くのですが、22:30(夏時間は21:30)はアメリカで多くの経済指標が発表される時間であり、中央銀行関係者や政治家の発言が増える時間帯なので、22:30(夏時間は21:30)前後は為替レートが大きく動くことが多いです。
この時間帯だと、会社勤めしている人でも帰宅後にトレードできますし、専業主婦でも1日の家事が終わった後にトレードできます。
そのため、21:00〜1:00の時間帯は欧米人だけでなく、日本人トレーダーも多い時間帯となります。
ちなみに、株式投資の世界ではニューヨークのウォール街が世界の頂点ですが、為替の世界ではロンドンが世界の頂点です。
外国為替市場の取引高の約40%がロンドン市場で行われていると言われてます。
特に、25時(夏時間は24時)のロンドンフィキシング(ロンフィク)が最も取引量が増えます。
「仲値」と「ロンドンフィキシング」については後ほどさらに詳しく説明しますが、まずはサマータイムについて見ていきたいと思います。
サマータイム(夏時間)の有無と時期、日本との時差
※2018年9月現在
国 | サマータイムの有無 | サマータイムの時期 | 日本との時差 |
---|---|---|---|
ニュージーランド | あり | 9月最終日曜日〜4月第1土曜日 | +3時間(日本が3時間遅れている) ※サマータイム時は+4時間(時差が1時間拡大) |
オーストラリア (シドニー) |
あり | 10月第1日曜日〜4月第1日曜日 | +1時間(日本が1時間遅れている) ※サマータイム時は+2時間(時差が1時間拡大) |
香港&シンガポール | なし | -1時間(日本が1時間進んでいる) | |
イギリス | あり | 3月最終日曜日〜10月最終日曜日 | -9時間(日本が9時間進んでいる) ※サマータイム時は-8時間(時差が1時間短縮) |
アメリカ (ニューヨーク) |
あり | 3月第2日曜日〜11月第1日曜日 | -14時間(日本が14時間進んでいる) ※サマータイム時は-13時間(時差が1時間短縮) |
2018年現在ではオセアニアと欧米はサマータイムを導入していますが、アジアはサマータイムが導入されていません。
しかし、EU(欧州連合)では昨今、サマータイムの廃止が議論されているので、将来的にEUではサマータイムが廃止される可能性もあります。
イギリスは2016年6月にEUから脱退していますが、将来的にEUに再度加入したら、EUのサマータイム制度の影響を受ける可能性もあります。
また、オセアニアにあるニュージーランドとオーストラリアは南半球に位置するため、日本の冬の時期が夏となります。よって、日本の冬の時期にサマータイムが導入されます。
北半球にあるイギリスとアメリカではサマータイムになると時差が1時間短くなりますが、南半球にあるニュージーランドとオーストラリアでは時差が1時間長くなります。
ちょっとややこしいですが、為替の世界ではロンドンとニューヨークがメイン(一番取引が活発になる)なので、オセアニアの時差やサマータイムの有無はあまり気にしなくてもOKです。
また、オーストラリアとアメリカは国土が大きいので、エリアによって日本との時差が変わってきますが、為替の世界では「オーストラリア=シドニー」「アメリカ=ニューヨーク」です。
仲値とは
「仲値(なかね)」とは日本の銀行で公示される、その日の基準となる為替レートのことです。
海外旅行に行く前に、銀行で外貨に両替(円を売って外貨を買う)しますが、その時の為替レートは「仲値」で示された為替レートになります。
外貨両替だけでなく、輸入業者などによる資金調達、外貨建て債券、小口の貿易の決済にも「仲値」で決まった為替レートが利用されています。つまり、FXトレードのような投機ではなく、実需の需要が多い時間帯ということです。
「仲値」が決まるのは9:55ですが、公示は10時になります。
そのため、10時前後になると「仲値」がらみで為替レートが大きく動くことがあります。
基本的に、「円を売って外貨を買う」取引がメインとなるため、ドル円の場合なら上昇することが多いです。
その日の「仲値」はツイッターなどで毎日10時頃に知ることができます。
ドル円仲値、111.45円 三菱UFJ銀行 #fx
— 楽天FX (@rakuten_fx) 2018年9月11日
特に、「五十日(ごとうび)」と呼ばれる5や10がつく日(5日・10日・15日・20日・25日・30日)や月末は決済の締め日になることが多いので、「仲値不足(=外貨不足)」から「仲値」で為替レートが大きく動く傾向があります。
逆に、「仲値」取引が終わるころ(10時過ぎ頃)になると、今度は逆のトレンドに動くことも多いです。
ロンドンフィキシング(ロンフィク)とは
「ロンドンフィキシング(London Fixing、略称:ロンフィク)」とは、ロンドン市場版の「仲値」です。
また、「ロンドンフィキシング」は「金(Gold)価格」がドル建てで決まる時間でもあります。
「Fixing」とは「固定」という意味で、ロンドンでその日の基準となる為替レートが固定(=決定)されるということです。
25時(夏時間は24時)の「ロンドンフィキシング」は時間的にロンドン勢とニューヨーク勢の両方が参戦するので、1日の中で取引量が一番増え、為替レートが一番動きやすい時間帯になります。
欧米勢はトレンドに逆らわない「順張りトレード」をする投資家が多いので、この時間帯は「逆張り」より「順張り」で付いていく方が勝率は上がるかもしれません。
「ロンドンフィキシング」は以下のように1日に2回ありますが、日本でロンフィクと言えば25時(夏時間は24時)のロンドンフィキシングです。
ロンパチ | ロンドンフィキシング (ロンフィク) |
|||
---|---|---|---|---|
夏時間 | 冬時間 | 夏時間 | 冬時間 | |
東京時間 | 16:00 | 17:00 | 24:00 | 25:00 |
ロンドン時間 | 8:00 | 16:00 | ||
ニューヨーク時間 | 3:00 | 11:00 |
「ロンパチ」はロンドン時間で8時なので、このように呼ぶ人もいますが、日本時間では東京タイムが終わった16時〜17時になります。
私はドル円のトレードしかしていませんが、ドル円の場合、東京タイムではずーとレンジだったのに、16時や17時に急に動き出すということがまれにあります。これはロンパチが影響しているのかもしれません。
ニューヨーク勢は朝が早く帰宅も早い傾向があるので、日本時間で21時くらい(現地時間で8時くらい)から参入してくることが多いようです。また、日本時間21時はロンドン勢のランチ後の時間帯(13:00)でもあります。
そのせいか、21時前後から急にドル円が動き出すことも多いです。
2時を過ぎると、日本勢や欧州勢が減るので、徐々に取引が閑散となっていく傾向があります。ただし、米国では政治がらみの材料が原因で大きく動くことがあります。
追伸)日本人投資家は21:00〜0:00に取引が活発になる傾向に
2018年10月8日付の日本経済新聞にFXの取引時間についての記事がありました。
9月の為替取引額 最少 円ドル相場の膠着が影響:日本経済新聞
外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は、「円相場が狭い範囲内でしか動かず、東京時間での取引を手控える投資家も多かった」という。
同研究所が実施した調査では取引時間として午後9時~午前0時を選ぶ個人投資家が最も多かった。値動きの乏しさから投資家が欧州や米国の取引時間を好むようになり、東京市場で取引が少なくなった面もある。
FX取引する時間帯は午後9時(21:00)〜午前0時(24:00)の3時間の中で選ぶ個人投資家が多いと書いてあります。
私自身もこの時間にトレードすることが多いですし、会社勤めしている方でも、帰宅後にトレードできる時間帯です。
ただし、イギリスは10月最終日曜日から、アメリカは11月第1日曜日からサマータイムが終わり冬時間となるので、11月以降は午後10時(22:00)〜午前1時(01:00)と1時間だけ後ろにズレます。
午前1時(01:00)まで起きていると翌日の仕事に悪影響が出る人も多いでしょうから、冬時間(11月〜3月)は午後10時(22:00)〜午前0時(24:00)の2時間で取引が活発になるのではないでしょうか。
為替が動きやすい時間帯が分かったら、次は為替の年間動向も知っておくことをオススメします。以下の記事でドル円の月ごとの動向について詳しく解説しています。