FXは「安い時に買って(=BUY)、高い時に売る」もしくは「高い時に売って(=SELL)、安い時に買い戻す」というキャピタルゲイン(売却益)の他に、保有している間に付く「スワップ金利(スワップポイント)」でも利益を得ることができます。
株式投資でいったら「配当金」、外貨預金でいったら「利息」といった具合に、FXでも「スワップ金利(スワップポイント)」という「インカムゲイン」でも利益が得られるということです。
ただし、FXの「スワップ金利(スワップポイント)」にはプラスとマイナスがあることには注意が必要です。
基本的に、金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買った時(例:ドル円のBUY)に「スワップ金利(スワップポイント)」がプラスになります。
逆に、日本円のように金利が低い通貨を買って、金利の高い通貨を売った時(例:ドル円のSELL)はマイナスの「スワップ金利(スワップポイント)」になります。マイナスということは、自分が「スワップ金利(スワップポイント)」を支払うということです。
そして、「スワップ金利(スワップポイント)」の高低は通貨ペアによって変わってきます。
つまり、スワップ金利(スワップポイント)が高い通貨ペアもあれば、低い通貨ペアもあるということです。
目次
スワップ金利(スワップポイント)の決まり方
スワップ金利(スワップポイント)は2つの通貨間の金利差によって決まります。
これは外貨預金の金利と同じ仕組みです。
たとえば、「住信SBIネット銀行」では以下のように通貨ペアによって金利が変わってきます。(2018年10月8日時点)
先ほど、スワップ金利(スワップポイント)は2つの通貨間の金利差によって決まると説明しましたが、この場合の金利差とは「政策金利」の差を指します。
政策金利とは
政策金利とは各国の中央銀行が一般の銀行に融資する際に適用される短期金利のことです。
政策金利は中央銀行が景気を見ながら決めていきます。
一般的に景気が良い時には政策金利を高くし(=利上げ)、景気の過熱感や過剰なインフレ(物価高)を抑制しようとします。
逆に、景気が悪い時には政策金利を低くし(=利下げ)、市場にお金がたくさん出回るようにします(=金利が低くなるとお金を借りる会社や個人が増えるため)。
上のチャートは米国の政策金利「フェデラルファンド金利(Federal funds rate)」の2000年からの推移です。
見ての通り、米国はITバブル崩壊後とリーマン・ショック後に「フェデラルファンド金利(=政策金利)」を大幅に下げて(=利下げ)、不況局面を乗り切っています。
2018年現在の米国は景気が非常に良いので、2015年末から段階的な利上げによって景気の過熱感や過剰なインフレ(物価高)を抑制しようとしている段階にあります。
各国の政策金利
各国の政策金利には以下のようなものがあります。(政策金利は2018年10月時点)
国・地域 | 通貨 | 政策金利の名称 | 決定機関 | 政策金利 |
---|---|---|---|---|
日本 | 円(JPY) | 無担保コールレート 公定歩合 |
日本銀行 | -0.051% 0.3% |
米国 | ドル(USD) | フェデラルファンド金利(Federal Funds Rate=FFレート) | FRB(連邦準備制度理事会) | 2.25% |
EU | ユーロ(EUR) | key ECB interest rate | ECB(欧州中央銀行) | 0.0% |
イギリス | 英ポンド(GBP) | レポレート | イングランド中央銀行 | 0.75% |
カナダ | カナダドル(CAD) | オーバーナイトレート | カナダ中央銀行 | 1.50% |
オーストラリア | 豪ドル(AUD) | オフィシャルキャッシュレート | RBA(オーストラリア準備銀行) | 1.50% |
ニュージーランド | ニュージーランドドル(NZD) | オフィシャルキャッシュレート | RBNZ(ニュージーランド準備銀行) | 1.75% |
トルコ | トルコリラ(TRY) | 1週間物レポ金利 | トルコ中央銀 | 24% |
南アフリカ | ランド(TRY) | SARB Announce Interest Rate | 南アフリカ準備銀行 | 6.50% |
外為どっとコムの政策金利のページでは、各国の政策金利の推移をグラフで見ることができます。
リーマン・ショック(2008年9月)前の2008年8月時点では、先進国通貨では「ニュージーランドドル」や「オーストラリアドル」の政策金利が7%以上と高い傾向にありました。
当時は南アフリカ・ランドの政策金利が12%と一番高かったですが、私の友人は南アフリカ・ランドをスワップ金利(スワップポイント)狙いで保有し、リーマン・ショック後の円高で強制ロスカットされてしまい、150万円もの大金を溶かしてしまいました・・・。
現在(2018年9月)、先進国通貨では米国の政策金利がオーストラリアやニュージーランドを抜いて2.25%と一番高くなっています。
トルコの政策金利は24%と非常に高いですが、2018年10月3日に9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比24.5%上昇したと発表し、強烈なインフレ状態(=通貨の価値が下がっている状態)に陥っています。
経済が不安定な新興国通貨をスワップ金利(スワップポイント)狙いで買い保有しても、対円では円高に進む傾向が強いので、含み損が膨らんで強制ロスカットされる可能性もあるので注意したいところです。詳細は以下の記事に書いています。
スワップ金利(スワップポイント)の基本的な計算方法
スワップ金利(スワップポイント)は2つの通貨間の政策金利の金利差によって決まると説明しましたが、基本的な計算方法は以下のようになります。
たとえば、ドル円の為替レートが113円の時に1.0ロット(10万通貨)でBUYしたとします。
- 通貨ペア:ドル円
- 為替レート:1ドル113円
- 米ドルの政策金利:2.25%
- 日本円の政策金利:0.1%
すると、日米の政策金利の金利差は「2.25%(米国) – 0.1%(日本) = 2.15%」となります。
1ドル113円の時に1.0ロット(10万通貨)でBUYなので、11,300,000円分のドルを購入したことになります。
すると、年間のスワップ金利(スワップポイント)は、
11,300,000円 × 2.15%(政策金利の金利差) = 242,950円(11,300,000 × 0.0215 = 242,950)
となり、1年間で242,950円のスワップ金利(スワップポイント)が付くことになります。
スワップ金利(スワップポイント)は土日に関わらず毎日付くので、1日計算だと「242,950円 ÷ 365日 = 665.61…」となり、約665円になります。
1.0ロットで1日665円なので、0.1ロットなら1日66円ほどです。
ただし、これはあくまでも基本的な計算方法であり、実際のスワップ金利(スワップポイント)は毎日変更しますし、FX業者によっても変わってきます。
FX業者によっては、営業戦略として特定通貨ペアのスワップ金利(スワップポイント)を高くしているところもあります。
OANDA(オアンダ)の通貨ペアごとのスワップ金利比較(2018年10月7日)
私が利用しているOanda Japan(オアンダジャパン)で「クロス円で投資できる主要通貨」と「流通量が多いユーロドルとポンドドル」のスワップ金利を調べてみました。
クロス円の「Buy/Long」でのスワップ金利の高い順に掲載しています。
※2018年10月7日(日)時点
※1ロット(10万通貨)を24時間保有した場合
通貨ペア | Buy/Long | Sell/Short |
---|---|---|
TRY/JPY トルコ リラ |
968.12 | -1175.39 |
USD/JPY 米ドル |
513.55 | -855.92 |
CAD/JPY カナダドル |
203.12 | -527.62 |
AUD/JPY オーストラリアドル |
153.53 | -493.49 |
NZD/JPY ニュージーランドドル |
150.23 | -691.08 |
ZAR/JPY 南アフリカ ランド |
108.4 | -168.39 |
MXN/JPY メキシコ ペソ |
89.15 | -144.46 |
CNY/JPY 人民元 |
7.62 | -221.06 |
INR/JPY インド ルピー |
5.65 | -23.24 |
THB/JPY タイ バーツ |
1.42 | -41.05 |
TWD/JPY 台湾ドル |
-21.43 | -20.44 |
HKD/JPY 香港ドル |
-25.82 | -61.57 |
GBP/JPY 英ポンド |
-40.82 | -510.24 |
SGD/JPY シンガポールドル |
-163.09 | -331.8 |
EUR/JPY ユーロ |
-304.76 | -233.05 |
CHF/JPY スイス フラン |
-580.17 | -78.4 |
EUR/USD ユーロドル |
-1075.58 | 573.64 |
GBP/USD ポンドドル |
-918.29 | 408.08 |
Currency Interest Rates | OANDAより
安定した先進国通貨で流通量が多い通貨ペアだと「ドル円のBuy/Long」と「ユーロドルのSell/Short」がスワップ金利(スワップポイント)が高い傾向があります。
「トルコリラ円のBuy/Long」が一番高いですが、私は怖くてBuy/Longできません・・・。
個人的にはFXはスワップ金利(スワップポイント)はおまけ程度に考えて、キャピタルゲインを狙うべきだと思っています。
追伸)2018年10月9日に0.2ロットでドル円をBUYしたスワップポイントは152円
Oanda Japan(オアンダジャパン)で2018年10月9日に0.2ロットでドル円をBUYして朝まで持ち越ししてみました。
昨日の夜、BUYエントリーし、その後、私の想定に反して下落してしまい、現在は含み損状態です。
前回安値を更新したら損切りしようと思っていますが、2018年10月時点のOanda Japan(オアンダジャパン)では、0.2ロット(2万通貨)でドル円をBUYすると、1日で152円のスワップポイントが付きました。
仮に、1.0ロット(10万通貨)なら5倍のスワップポイントが付くので「152 × 5 = 760」となり、1日760円のスワップポイントが付くことになります。
はやり、現在の米ドルは先進国で唯一利上げしているだけあり、BUYエントリーするとかなり高いスワップポイントが付くようです。
逆に、SELLエントリーでは高めのマイナスのスワップポイントが付くことになりますが。