先日、日経新聞を読んでいたら、FXでトルコリラが人気通貨という記事を見かけました。
ミセス・ワタナベ狩りか トルコリラで投機筋と攻防:日本経済新聞(2018/5/28)
今や米ドルの次に注目度が高い通貨はトルコリラ――。外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける個人投資家(通称、ミセス・ワタナベ)を対象にした調査で、そんな結果が出た。下落基調を強めているがゆえに割安感もあるとされるリラ。金利も高めで日本の個人投資家によるリラ買いは活発だ。
外為どっとコムの顧客を対象とした調査では、「買いの対象として注目している通貨」では以下のようなランキングになったそうです。
- 米ドル(対円)
- トルコリラ(対円)
- 豪ドル(対円)
- ユーロ(対米ドル)
- ニュージーランドドル(対円)
トルコリラが米ドルに続く2位になっています。
豪ドルやニュージーランドドルは高金利通貨としてスワップ金利狙いの投資家に昔から人気です。
ドル円は日本人投資家としては一番馴染みがある通貨です。
ユーロドルは世界で一番流通量が多い通貨です。
このような人気通貨の中で、トルコリラが2位になっている理由ですが、これはトルコリラが圧倒的な高金利通貨だからです。
FXで高金利通貨のリラを買った場合のスワップポイント(リラと円の金利差から生まれる収入)も高い。業者にもよるが、年率換算した金利は10%以上になる(証拠金倍率1倍のケース)。
というわけで、私が使っているOanda Japan(オアンダジャパン)で、現時点の通貨ペアごとのスワップ金利を比較してみたいと思います。
ちなみに、ちょうど一年前ほどにもスワップ金利の比較記事を書いています。
目次
OANDA(オアンダ)で通貨ペアごとのスワップ金利を調べる方法
Oanda Japan(オアンダジャパン)の通貨ペアごとのスワップ金利は以下のページで調べることができます。
Currency Interest Rates | OANDA
英語のページですが、使い方は簡単です。
以下の5つの手順を踏みます。
- Account Currencyで「JPY」を選択
- Currency Pairで通貨ペアを選択
- Actionで「Buy/Long」か「Sell/Short」を選択
- Number of Unitsで通貨数を入力 例)1ロット(10万通貨)なら100000、0.1ロット(1万通貨)なら10000
- Hours Heldで「24」と入力 ※24時間(1日)のこと
たとえば、「ドル円のBuyで1ロット(10万通貨)」なら上記のようになります。
一番下の「Interest Earned (JPY)」がスワップ金利です。
「ドル円のSellで1ロット(10万通貨)」なら上記のようにマイナスのスワップ金利になります。
ちなみに、スワップ金利は日々変化しています。
OANDA(オアンダ)の通貨ペアごとのスワップ金利比較
では、実際にOanda Japan(オアンダジャパン)で対円で投資できる「通貨」や「コモディティ」のスワップ金利を調べてみました。
Buy/Longでのスワップ金利の高い順に掲載し、最後にユーロドルも掲載しています。
※1ロット(10万通貨)を24時間保有した場合
通貨ペア | Buy/Long | Sell/Short |
---|---|---|
TRY/JPY トルコ リラ |
866.11 | -1141.39 |
USD/JPY 米ドル |
346.22 | -677.39 |
AUD/JPY オーストラリアドル |
160.38 | -515.52 |
NZD/JPY ニュージーランドドル |
159.02 | -731.5 |
CAD/JPY カナダドル |
138.18 | -451.69 |
ZAR/JPY 南アフリカ ランド |
118.89 | -184.68 |
MXN/JPY メキシコ ペソ |
80.00 | -129.64 |
PLN/JPY ポーランド ズウォティ |
29.14 | -212.28 |
CNY/JPY 人民元 |
7.37 | -213.83 |
INR/JPY インド ルピー |
6.03 | -24.81 |
THB/JPY タイ バーツ |
1.41 | -40.86 |
NOK/JPY ノルウェー クローネ |
-3.74 | -78.46 |
CZK/JPY チェコ コルナ |
-4.83 | -65.61 |
TWD/JPY 台湾ドル |
-20.73 | -19.77 |
HKD/JPY 香港ドル |
-24.94 | -59.47 |
SEK/JPY スウェーデン クローナ |
-32.88 | -43.27 |
DKK/JPY デンマーク クローネ |
-32.95 | -72.1 |
SAR/JPY サウジ リヤル |
-92.28 | -244.73 |
GBP/JPY 英ポンド |
-141.47 | -404.21 |
SGD/JPY シンガポールドル |
-163.61 | -332.87 |
EUR/JPY ユーロ |
-302.32 | -231.19 |
CHF/JPY スイス フラン |
-564.59 | -76.3 |
XAG/JPY 銀 |
-6355.24 | -6863.66 |
XPT/JPY プラチナ |
-94270.72 | -646232.61 |
XPD/JPY パラジウム |
-381615.33 | -1877547.43 |
XAU/JPY 金 |
-723037.23 | -410372.48 |
EUR/USD ユーロドル |
-889.17 | 391.23 |
最近は米10年債利回りが上昇しているので、ドル円のBuy/Longのスワップ金利が2位になっており、高金利通貨と言われているオーストラリアドルやニュージーランドドルの2倍以上のスワップ金利が付いています。
私が塩漬け状態で大幅な含み損を抱えているドル円の3つのエントリー(0.9ロット=9万通貨)から出るスワップ金利も、今月に入ってから以下のように増えています。
5月までのスワップ金利は1日340円台でしたが、6月(赤枠)に入ってから370円台に増えています。
しかし、ドル円以上にスワップ金利が高いのがトルコリラです。ドル円の2.5倍のスワップ金利が付き、堂々の1位となっています。
ユーロドルのSell/Shortもスワップ金利が高いですね。
(追伸 2018年6月16日)ドル円Buyのスワップ金利がさらに増加
6月14日から「ドル円BUY」のスワップ金利が430円台に一気に増加しました。
そして、翌日15日には440円台に増加。
6月15日(金)の米10年債利回りは2.924%と3%には乗っていませんが、日本の10年債利回りが0.035%と低下しているので、その影響かもしれません。
マネーは金利の低い方から金利の高い方に動く傾向があります。これは当然です。金利5%の銀行と金利0.001%の銀行だったら、当然、金利の高い前者の銀行を選ぶでしょう。
それと同じで、金利の高い通貨と金利の安い通貨だったら、金利の高い通貨を選ぶという動機が働きます。
さらに、米ドルは世界の基軸通貨で、新興国通貨と違い信頼性があります。
今後、スワップ金利狙いの米ドル買いをする投資家が増えてきて、ドル高円安の動きが明確になってくる可能性もありそうです。
ただし、世界のマネーの動きは金利だけでは決まりませんから、他の要素との兼ね合いももちろんありますが。
FXでスワップ金利狙いのトレードをすべきか?
では、スワップ金利狙いのFXはお得なのか?
多くのスワップ金利がつくトルコリラをBuy/Longすべきなのか?
私は個人的にはFXでスワップ金利狙いのトレードは辞めた方がいいと思っています。
FXで利益を得るなら、キャピタルゲイン狙いが正当だと思います。
スワップ金利はキャピタルゲイン狙いのおまけくらいに考えた方がいいのではないでしょうか?
なぜなら、トルコリラなどの高金利通貨は乱高下も激しいからです。
上のチャートはOanda Japan(オアンダジャパン)で見ることができるトルコリラ/円の2007年からの月足チャートです。
このチャートを見れば分かる通り、仮にスワップ金利狙いでトルコリラ/円をBuyしても、毎日スワップ金利はもらえるかもしれませんが、その何倍ものキャピタルロスが出ていることになります。
人によっては強制ロスカットで資金を溶かしてしまった人もいるのではないでしょうか?
私の友人も2008年にスワップ金利狙いで南アフリカランド/円をBuyしていましたが、リーマンショック後の乱高下で強制ロスカットされてしまい、150万円もの大金を溶かしてしまいました。
ドル円のような比較的安定した値動きをする通貨なら、1ドル100円くらいの時にスワップ金利狙いでドル円をBuyして長期保有するのはいいかもしれません。
しかし、先の動きが読みづらいトルコリラのような通貨では、どんなにスワップ金利が高くても、スワップ金利狙いのFXトレードはギャンブル性がすごく高くなるため、辞めた方がいいと個人的には思っています。
実際、ドル円の場合でも、買っているトレーダーやSellでキャピタルゲインを得ている人が多いように感じます。