2018年の最大の政治イベントといえば、11月6日に行われる米国の中間選挙です。
2016年11月8日にドナルド・トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に当選してから2年が経過し、この2年間の大統領としての仕事ぶりを国民から評価される日となります。
アメリカ人が任期前半のトランプ大統領にどんな審判を下すのかも注目ですが、事前のコンセンサス(=マーケットの総意)と違った結果が出た時の株価や為替の動きにも注目です。
2016年11月8日の大統領選では、「接戦にはなるが、なんだかんだいってクリントン当選」という事前のコンセンサスに反してトランプ大統領が当選したことで、マーケットは大荒れしました。(ドル円は大きく下落した後、大きく上昇しました。)
私は大統領選前日からドル円をトレードしていましたが、選挙前日と当日の2日間で60万円ほどの損失を出した記憶があります・・・。(FXを始めて2ヶ月目のことで、パニック損切りをしてしまいました。。)
それだけ、コンセンサスと違う結果になると、為替も株価も大きく動きます。
2018年11月6日の中間選挙も、事前のコンセンサスは概ね出ていますが、「選挙は水物(=何が起こるか分からない)」と言うように実際にコンセンサス通りの結果になるかは未知数です。
そこで、現時点(2018年10月19日)の中間選挙のコンセンサスを米国の政治予想サイトなどで確認してみたいと思います。
目次
アメリカの議会の仕組み
まずは、アメリカの議会の仕組みについて確認します。
アメリカの議会は「上院(じょういん)」と「下院(かいん)」に分かれており、議席数と任期は以下のようになっています。
議席数 | 任期 | |
---|---|---|
上院 | 100議席 | 6年 |
下院 | 435議席 | 2年 |
アメリカは「共和党」と「民主党」の二大政党制となっていますが、現在は以下のようにトランプ大統領が出馬した「共和党(=与党)」が上院、下院ともに過半数(半分以上)をとっています。
共和党(与党=トランプ大統領) | 民主党(野党) | 空席 | |
---|---|---|---|
上院(100議席) | 51 | 49 | – |
下院(435議席) | 235 | 193 | 7 |
つまり、現在は与党「共和党」が上院・下院ともに議会の過半数を握っているので、予算や法案の決定を進めやすい状態と言えます。
今回の中間選挙で野党「民主党」が上院、下院のどちらかで過半数をとると「ねじれ」議会となります。
議会は予算と法案審議に絶大な権限を持っているので、「ねじれ」状態となると、今後、予算が成立せずに政府閉鎖が起きたり、トランプ大統領が望む法案が議会を通らなくなったりといったことが起こり得ます。
大統領弾劾の条件
一時期、トランプ大統領の弾劾(=罷免=大統領を辞めさせること)がニュースで話題になっていましたが、大統領弾劾のハードルは非常に高くなっています。
というのも、訴追(=大統領弾劾の申し立て)には下院で議員の過半数の賛成が必要となり、その後の上院の裁判で有罪判決となるには議員の3分の2の賛成が必要となるからです。
つまり、「上院」「下院」ともに野党である民主党がとらないと、大統領弾劾は現実的ではありません。
仮に、今回の中間選挙で「上院」「下院」ともに民主党がとることになれば、トランプ大統領の弾劾は現実味を帯びてくるかもしれません。
ちなみに、海外ドラマの「ハウス・オブ・カード 野望の階段」では、議員の野望、裏切り、裏取引、駆け引きなどが露骨に描かれていて、米国政界のリアルな姿を見ることができるのでオススメです。
現在、Amazonでは字幕版・吹替版ともにシーズン5まで見ることができますが、シーズン6は2018年に撮影中で、2018年11月2日に配信されると発表されています。そして、シーズン6をもって完結となるようです。
購入してでも見る価値のある骨太な政治ドラマだと思います。このドラマを見ると、複雑な米政界の仕組みを理解できるようになります。
ブルーレイやDVDセットもありますが、プライム・ビデオだと全てのシーズンで第1話が無料で見ることができます。
セリフが多く、専門用語も多いので、私は吹替版で全て見ました。
シーズン1(2013年2月1日〜) |
シーズン2(2014年2月14日〜) |
シーズン3(2015年2月27日〜) |
シーズン4(2016年3月4日〜) |
シーズン5(2017年5月30日〜) |
シーズン2では2017年からソーシャルネットで盛り上がりを見せている「MeToo運動」の先駆けとなるようなストーリー展開になっていたり、大統領の弾劾を扱っていたりしています。
このドラマを見ることで、日々のニュースから裏で何が起こっているのか、自分の頭の中で妄想できるようになります。
米国の中間選挙とは、中間選挙の過去の傾向
アメリカの場合、大統領の任期は4年ですが、その中間地点である2年目に中間選挙が行われます。
中間選挙は西暦偶数年の「選挙の日(11月の第1月曜日の次の火曜日)」に行われ、2018年は11月6日(火)になります。
冬時間の場合、日本とアメリカ(NY)の時差は14時間あるので(=日本が14時間進んでいる)、日本時間だと2018年11月7日(水)になります。
上院 | 下院 | |
---|---|---|
任期 | 6年 | 2年 |
議席数 | 100議席 | 435議席 |
勝敗ライン(過半数) | 51議席 | 218議席 |
2018年 中間選挙前 | 共和党:51議席 民主党:49議席 |
共和党:235議席 民主党:193議席 |
下院の任期は2年なので、この中間選挙で下院議員全員(435人)が改選となり、任期6年の上院議員は3分の1が改選となります。(2018年は2補選も含めて上院は35議席が改選)
中間選挙では、この改選となる議席を「共和党(=与党)」と「民主党(=野党)」の議員で争うことになります。
中間選挙は議会や各候補への評価だけでなく、現職大統領の2年間の政策に対する国民からの「信任投票」の意味合いがあるので、トランプ大統領のここまでの仕事ぶりが国民から審判される日と言っていいでしょう。
さらに、中間選挙の結果は、任期後半における大統領の政策にも大きな影響を及ぼしますし、2年後の大統領選の前哨戦としての意味合いもあります。
中間選挙の過去の傾向には以下のようなものがあります。
- 中間選挙では現職大統領の政権運営への批判票が集まりやすいため、現職大統領が所属する政党(=与党)は議席を失うことが多い。
- 中間選挙は大統領選挙と比べると有権者の関心は薄いので投票率が低くなる。前回(2014年)は36.4%。(大統領選挙の投票率は60%、中間選挙の投票率は40%前後になることが多い)
- 現職が新人候補より強い傾向にある。(過去のデータでは現職の再選率は上院で80%、下院で93%)
上記のような傾向がありますが、2018年の中間選挙では、ライアン下院議長をはじめ共和党の現職議員40人以上が今期限りで引退を表明しているため、435人全員が改選となる下院では新人同士の戦いが増え、民主党にチャンスが到来しています。
さらに、通常、有権者の関心が薄い中間選挙ですが、2018年はトランプ政権ということもあり、関心度は高くなっているようです。
米ワシントン・ポストの世論調査によると、「投票に行く」と答えた人は前回(2014年)の中間選挙では63%でしたが、2018年は76%と増加しています。
政治予想サイトの現時点の予想(=コンセンサス) 2018年10月19日時点
アメリカでは政治予想サイトが充実しています。
政治予想サイトをチェックする前に、知っておきたい英語についてまとめます。というのも、最低限の単語の意味が分からないと意味が理解できないからです。
- 共和党:Republic=Rep、Grand Old Party=GOP
- 民主党:Democrat=Dem
- 上院:Senate=Sen、Upper House
- 下院:House=House of Representatives=HR
- 接戦(50%):Toss Up
- 75%以上の可能性:Likely
- 60%以上の可能性:Lean
また、キーカラーですが、共和党が赤、民主党が青です。
まずは、米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」の予想をチェックします。
RealClearPolitics – 2018 Election Maps – Battle for the Senate 2018(上院)
上院では共和党50議席、民主党44議席、接戦6議席となっています。過半数は51議席ですが、現状では共和党有利な予想となっています。
RealClearPolitics – 2018 Election Maps – Battle for the House 2018(下院)
下院では共和党199議席、民主党206議席、接戦30議席となっています。過半数は218議席なので、現状では民主党有利な予想となっています。
次に、「FiveThirtyEight」の予想をチェックします。
2018 Senate Forecast | FiveThirtyEight(上院)
上院は共和党が過半数を維持する確率が79.6%に対し、民主党が過半数を奪回する確率は20.4%となっています。
2018 House Forecast | FiveThirtyEight(下院)
一方、下院では民主党が過半数を奪回する確率が84.0%と非常に高くなっています。
下院は現状では民主党216議席(190+18+8)、共和党199議席(130+49+20)、接戦20議席となっています。
最後に、反トランプメディアとなりつつある「The New York Times」の予想を見てみます。
Tracking the House Races to Watch in the 2018 Midterm Elections – The New York Times(下院)
10月12日時点の予想ですが、下院は民主党が208議席(183+11+14)、共和党が196議席(145+27+24)、接戦31議席という予想となっています。
3つの政治予想サイトを見ると、「上院は共和党(=与党=トランプ大統領)」「下院は民主党」という「ねじれ」になることが、中間選挙前のコンセンサスのようです。
ということは、「共和党が上院・下院ともに過半数をとる」「民主党が上院・下院ともに過半数をとる」という結果になると、コンセンサスから外れることになるので、その後の株価や為替に大きな影響が出てきそうです。
一番注目されているのが南部テキサス州の上院選挙です。
テキサス州は人口も面積も経済規模も全米第2位で、2017年にはトヨタの米国本社もカリフォルニア州からテキサス州ダラス北部のプレイノに移転されました。
テキサス州といえば、この25年間、共和党が負け知らずな州ですが、民主党から出馬するベト・オルーク候補が非常に注目されています。
元ミュージシャンでパンクロッカーという型破りなキャラクター、俳優のような甘いマスク、オバマ元大統領のような切れ味のある演説、さらに銃愛好家が多いテキサス州で銃規制を強化するという政策を打ち出しています。
テキサス州に住む若者の投票率が上がれば、テキサス州の上院は民主党がとるというまさかのシナリオもあり得るかもしれません。
そうなると、下院だけでなく上院も民主党が過半数を取るという展開となるので、「上院は共和党、下院は民主党」というコンセンサスが崩れる展開となります。
そういう意味では、テキサス州の上院の結果には注目しておきたいところです。
日本の米中間選挙に関する記事
ここからは、日本のニュース記事で11月6日に行われる米中間選挙の予想が書いている記事を時系列で紹介します。
「どうなる?アメリカ中間選挙」(時論公論) | 時論公論 | 解説アーカイブス | NHK 解説委員室(2018年08月21日)
上院の最新の議席獲得予測を見てみましょう。いまのところ民主党は45議席、共和党は48議席を固めたものとみられます。残り7つの議席が、どちらになるかわからない接戦です。
もともと共和党は、今回の改選議席が民主党より格段に少ないので、議席を失うリスクが小さい分だけ有利です。
下院は共和党が議席を減らす公算が高まっています。最新の予測では、民主党がすでに現有議席を上回る199議席を固めたのに対し、共和党が固めたのは194議席にとどまり、残り42議席が接戦とみられています。
なぜ共和党は苦戦しているのでしょうか?本来は有利になるはずの現職議員少なくとも43人が今期限りで引退を表明しているからです。これほど多くの現職の引退は過去に例がありません。ライアン下院議長をはじめ、トランプ大統領と一線を画してきた主流派の有力議員らが去ることで、共和党の組織力低下を危ぶむ声もあります。反対に、民主党は「下院の多数を奪還する絶好のチャンス到来」と勢いづいているのです。
11月に迫る米『中間選挙』の注目ポイント | トウシル 楽天証券の投資情報メディア(2018/9/18)
調査会社Real Clear Politics社の現時点における議席獲得予想は、上院では共和党47議席、民主党44議席です。下院は共和党191議席、民主党が202議席と、民主党がやや有利な展開ではありますが、接戦が42議席あるため、どちらが勝利してもおかしくない状況です。
民主党が下院で過半数を奪うと、大統領と議会の間で「ねじれ」が生じ、予算編成が困難になったり、追加減税など共和党主導の立法が困難になるなど、トランプ政権がレームダック化する可能性があります。
米中間選挙の焦点と予想される市場の反応/マーケット情報・レポート - 三井住友アセットマネジメント(2018年09月19日)
上院で共和党勝利、下院で民主党勝利の場合は、ほぼコンセンサスでリスクオフ(株価下落、国債利回り低下、米ドル安)の反応は一時的
上下両院とも共和党勝利なら政策安定でリスクオン(株価上昇、国債利回り上昇、米ドル高)、民主党勝利なら政策行き詰まりでリスクオフ(株価下落、国債利回り低下、米ドル安)で大統領の弾劾リスクが増大
「アメリカ中間選挙まで1か月」 | キャッチ!世界のトップニュース「特集・ワールドアイ」 | 解説アーカイブス | NHK 解説委員室(2018年10月04日)
下院は民主党に勢いがある。既に193の現有議席を上まわる議席を固めつつある。これに対して、共和党は現有の235議席から減らすのは確実だ。勝敗ラインは過半数の218議席。共和党はどこで下げ止まるかが焦点になる。
(上院で)改選される35議席の内訳を見ると、民主党が26に対して共和党は9議席。守るべき現有議席が、圧倒的に少ない分だけ、(上院は)共和党に有利な選挙になる。
米中間選挙、円高にざわめく市場:日本経済新聞(2018/10/10)
米ニューヨークのトレーダーたち20人ほどと「電話会議」の機会があった。2時間ほどのセッションで、話題はやはり中間選挙だった。
まず、選挙予測としては、7割がたが、上院共和党、下院民主党勝利によるねじれ議会を見込む。
その場合「トランプ相場で育ってきた」NY株式市場も、短期的には、調整不可避との見方が目立つ。
同じ銀行出身者たちのカジュアルな集まりなので、民主党支持のヘッジファンドが、「本音は共和党が勝ってトランプ相場の勢い(モメンタム)が失われないことを望む」とのコメントが笑いを誘った。
中期的には、「誰が大統領になっても、米国経済のファンダメンタルズが強いので、株価も調整後は反発」との意見が多数派であった。
株安連鎖止まらず 市場関係者の見方:日本経済新聞(2018/10/12)
中間選挙では民主党が下院で過半数を奪還すると予想されており、そうなれば年明けからトランプ大統領の弾劾裁判への動きが始まる可能性がある。実際には弾劾されないと思うが、裁判が始まれば政策運営の遅れなど影響が出てくるとみている。
米中間選挙は共和党圧勝か【フィスコ・コラム】 – みんなの株式 (みんかぶ)(2018/10/14)
2年前の大統領選の時もそうでしたが、調査機関によってばらつきがあるので、結果の予想は困難かもしれません。中間選挙は与党の共和党からみた場合、
1)上院勝利+下院勝利、
2)上院勝利+下院敗北、
3)上院敗北+下院勝利、
4)上院敗北+下院敗北、の4パターンが考えられます。キニピアック大学の調査から判断すれば、2)または4)の可能性が高いと言えるでしょう。しかし、筆者は両院を共和党が制する1)を予想します。
それは、アメリカ経済が「何となく暮らし向きがいい」というレベルではなく、絶好調だからです。日本のある政治家から「与党の候補者として選挙で当選するには『経済が良くなった』と訴えるのが一番効果的だ」と聞いたことがあります。実際、衆院選挙区ではあまり強くないにもかかわらず、そう主張して何度か勝利していました。これはアメリカも日本も、あるいは世界のどこの国でも同じでしょう。
東京新聞:米中間選挙 民主、下院選で大勝難しく 共和、トランプ人気で粘り:国際(TOKYO Web)(2018年10月15日)
-下院では民主党の躍進と共和党の過半数割れが予想されている。
「夏ごろまでは民主党の『青い波』が訪れると言われていた。私も当時、民主は現有議席(百九十三)から四十議席ほど増えるとみていたが、勢いは衰えている。今では三十議席増程度にとどまるのではないか。下院で与野党は逆転するだろうが、民主の勢いは波ではなく『大きなしぶき』くらいだと考えている」
-民主党がさほど大勝しないと考える理由は。
「現在は一八六〇年代の南北戦争以来の分断状態にある。トランプ氏の党内支持率も約八割と非常に高く、共和の粘りにつながるだろう。さらに、共和支持者は伝統的に高齢者が多く、民主よりも投票率が高い。二〇一〇年選挙で共和が大勝し、多くの選挙区で共和が有利になる区割りに変更するゲリマンダーが起きた。民主党の全国支持率が高くても、選挙区によってはその数字が反映されない可能性がある」
「上下院ねじれに」予想6割 米中間選挙、両院で共和敗北なら105円台も 月次調査<外為> | QUICK Knowledge | QUICK Money World(2018/10/15)
米上下院のねじれ予想について、三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏は「ねじれ議会は市場のコンセンサスとなりつつある。現実になってもリスクオフの反応は一時的」という。
ただ2年前の大統領選では予想に反してトランプ氏が勝利し、直後に円安が進む「トランプラリー」となった。リスクシナリオを踏まえる意味で、中間選挙の結果がどうなれば最も円安・ドル高に傾くか聞いた。最も多い回答が「共和党が両院で過半数を維持」(72%)だった。その場合「年内に1ドル=120円まで円安が進む」が58%あった。
逆に共和党が両院で過半数を失った場合は円高・ドル安に振れる(64%)。重要法案や予算の審議が滞るだけでなく、大統領の弾劾も現実味を増し「リスクオフ=円買い」の筋書きになる。想定される円高の上限水準は1ドル=105円(50%)だ。
中間選挙で投資家が知っておくべきポイント – INVAST NAVI(2018-10-15)
つまりかなりの確率で下院は民主党が、上院は共和党が過半数を握ると見られているわけです。言い換えれば「ねじれ」状態になる可能性が最も高いのです。これがメイン・シナリオです。
次に高い確率は民主党が下院も上院も支配するシナリオです。
いちばん低い確率は共和党が下院も上院も支配するシナリオです。
米中間選挙、投票率上昇か 米紙世論調査:日本経済新聞(2018/10/15)
米紙ワシントン・ポスト電子版は14日、最新の世論調査で、11月の中間選挙で必ず投票に行くと回答した登録有権者が76%に上ったと発表した。前回2014年中間選挙の同時期の調査では63%だった。トランプ政権への審判となる選挙への有権者の高い関心が鮮明になった。
下院選で民主党候補を支持するとの回答は53%で、共和党支持の42%を上回った。同紙は「歴史的にこの差は民主党が議席を多く獲得する前兆だ」と指摘し、下院議席の過半数維持を狙う共和党にとってリスクと分析した。
コラム:米中間選挙はドル買いか、市場を占う3つのシナリオ=山田修輔氏 | ロイター(2018年10月18日)
共和党が完勝して利回曲線がベアスティープ化するシナリオでは、1ドル118円の可能性も開けてくる。ねじれ議会シナリオでは、米株高と金利低下が相殺し、日本市場の反応は限定的であろう
市場のコンセンサス通り民主党が下院で過半数を制し、共和党が上院支配を維持する「ねじれ」議会の場合、日本市場への影響は少なくとも当初は限定されそうだ。
共和党が上下両院で過半数を維持する展開は「サプライズ」となる。このシナリオでは、税制改革第2段への期待が高まりそうだ。
民主党が上下両院を制した場合もサプライズとなる。トランプ大統領は民主党の議会運営に対し拒否権を行使する可能性が高い。大統領と民主党指導部の間で、政府機関の閉鎖を引き起こしかねない敵対的な攻防が予見出来る。
米下院、共和が民主猛追 中間選挙、6日投開票 景気・移民対策影響か:日本経済新聞(2018年10月18日)
選挙分析サイト「ファイブ・サーティー・エイト」は民主が下院で過半数を奪回する確率を約85%と予測。だが2016年の大統領選では事前予測を覆し、トランプ氏が民主のヒラリー・クリントン元国務長官を破った。政治専門紙ポリティコは4日「民主支持者は(今回も)優位を信じ切れていない」と指摘した。
トランプ氏自身の支持率は4割超で、歴代大統領と比べ低水準で推移してきた。だが、「隠れトランプ支持者」の存在も侮れない。表に出てこない支持層が大きく動いたことが16年大統領選で予想外のトランプ勝利が実現した一因とされる。
2018年アメリカ中間選挙 4つの法則と今回の注目点(前嶋和弘) – 個人 – Yahoo!ニュース(2018/11/5)
議会の多数派党が変われば、下院の場合は議長も変わるほか、どの政策を優先的に取り上げていくかを決める委員長職も変わる。民主党が上下両院のいずれかで多数派を奪還すれば、大統領の望む政策を優先しないようになる。このように政策運営そのものが大きく様変わりする。
大統領に対しての”疲れ”というのがあり、中間選挙で大統領の政党は1934年以降、平均して下院で30、上院で4議席を減らしている。大統領の政党が議席を増やすのは、例外的であり、中間選挙で大統領の政党が議席を伸ばしたのは同年以降、3回しかない。
投票率が低い理由には、様々な理由がある。アメリカには住民登録制度がないため、選挙人名簿を作成するためには、有権者自身が事前に有権者登録を行う必要がある。さらに、近年は期日前投票が増えているものの、選挙は憲法に定めているように休日でなく、平日の火曜日である。また、上院も下院も現職の場合、再選率は9割を超すため、選挙を行う前から結果が予測できる選挙区が多く、「行かなくても結果は変わらない」と思う有権者も数多い。
中間選挙で大統領が遊説をすることはここ10年くらい前から始まったが、トランプ大統領の頻度は過去にない多さである。遊説を繰り返し、自分が出ない選挙でも共和党支持者の投票率を上げることで下院の状況を変えたいというのが大統領の狙いだろう。
一方で、民主党支持者のトランプ大統領に対する嫌悪に似た感情も全く変わっていない。前の大統領が中間選挙の遊説をするのも異例だが、オバマ氏は全米を周っている。
2人のリーダーの応援演説の向こう側には「トランプ的なもの」をどうみるかという評価がある。
米中間選挙がどんな結果なら、株価は上昇しやすいか – MONEY PLUS(2018/11/05)
まず、日本株への影響でよく言われる話として、「中間選挙の年は日米共に株高になりにくい」というものがあります。実際に、4年に1回の大統領選の年の株価を平均すると、日米共に他の3年間と比べ、騰落率が最も低いものになっています
これには、次のような理由が言われています。ドナルド・トランプ氏が米大統領になったのは、2年前の2016年です。大統領の任期は次の大統領選までの4年間です。ここで、これまでの大統領は次のように考える傾向が多いようです。
まずは、任期後の次の大統領選で再選を勝ち取るなど、自身の所属する党に有利にするため、国民にとっては厳しいものですが、国家を良くするためにやらなければならないような、痛みを伴う政策は、なるべく早い段階で行います。
そして、任期の後半には、多くの国民が喜ぶ景気刺激策を打ち出して、大統領選の辺りで景気を好調になるようにもっていきがちなのです。このため、任期前半の中間選挙に向けて、景気や株価は厳しい傾向になりやすいといわれます。
中間選挙の年は日米共に11月から翌年の3月までの相場が最も平均騰落率が高くなっています。今年でいえば、来年の3月までの相場が好調ということです。
つまり、中間選挙までは、選挙結果の行方を見極めたいという動きや、政治の先行きに不透明感が広がるため、経済や相場の重荷になりやすい状況となります。しかし、選挙後はこうした懸念は一段落することで、相場は堅調に推移するようです。
また、2年後の大統領選挙に向けて現政権が経済を良くする政策を、さらに本格化していくだろうとの投資家からの期待からも、株価が上昇すると考えられるのです。
そこで、過去の中間選挙の年だけを取り上げて、当時の大統領が所属する政党の議席が増えたか、それとも減ったかで、分類しました。
その後の株価が最も好調だったのは、上院か下院のどちらかで議席が増えたが、どちらかでは減ったというケースです。この場合には、11月から翌年の3月までの騰落率の平均は、日米共に10%台半ばの水準です。また、対象となる年のすべてが上昇しました
専門家の多くは、下院は共和党が議席を減らすのではと見ていますが、上院では逆に増やすと予想しているようです。上院の改選議席に関して、改選前で民主党が共和党の3倍程度議席を確保しています。さすがに、今回の選挙では圧倒して民主党が議席を確保するのは難しいだろうと見られているのです。
このような事前の予想通りなら、来年の3月に向けて日米の株価は好調が期待されます。