2018年12月24日(クリスマスイブ)の日経新聞に面白い記事がありました。
ミセスワタナベ襲った「円1強」 18年は損膨らむ:日本経済新聞(2018/12/24)
年末まであと1週間となったが、2018年は円相場が大半の通貨に対して年初比上昇する「円1強」の年になりそうだ。逆に言えば、大半の外貨が対円で下落する1年になる。その中で苦労したのが、外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける個人投資家(通称、ミセス・ワタナベ)。FX会社の調査によると、18年には損失を被った人が利益を得た人より多くなる現象が2年ぶりに起きた。
私は今、高値でBUYした2エントリーの含み損を16万円ほど抱えていますが、私だけではなく、2018年はFXで苦戦している人が多いようです。なぜか、少しホッとしました。。
日本のFX投資家のことを男女問わず「ミセス・ワタナベ」と言いますが、2018年にミセス・ワタナベの損失が拡大した一番の原因はドルコリラの暴落のようです。
20%以上のマイナスだったミセス・ワタナベはどういう取引をしていたのか。調査をまとめた外為どっとコム総合研究所によれば「最大の理由としてトルコリラの暴落をあげた顧客が圧倒的に多かった」という。
ミセス・ワタナベについては以下の記事に詳しく書いていますが、ミセス・ワタナベが利益を上げる時は決まって高金利通貨が上昇する時(=円安になる時)です。
今年(2018年)はトルコリラは上昇どころか暴落した1年となったので、損切りした投資家も多かったのでしょう。
ただ、高金利通貨は長期では低金利通貨に対して為替レートが下落する傾向があります。詳細は以下の記事に書いています。
2012〜2018年の年度ごとのFXで「利益を出した人」と「損した人」の比率
先程の日経新聞の記事に、FXで「利益を出した人」と「損した人」の比率を表すグラフが掲載されていました。
「外為どっとコム」の顧客向け調査(12月11~18日に実施)からのものなので、日本の全FX投資家のデータではありませんが、大手FX業者なので参考にはなりそうです。私はOanda Japan(オアンダジャパン)を使っていますが。
これを見ると、2012〜2014年のアベノミクス初期の頃は、FXで利益を出した人の方が圧倒的に多くなっています。
しかし、2015年と2016年は損した人の方が多いです。
2015年といえば、8月に「チャイナ・ショック」があり、株価が大幅に下落しました。
その結果、「有事の円買い」が進み、円高となりました。ドル円は2015年8月の1ヶ月で122円から116円台のスパンで6円弱も変動しました。
2016年6月にはブレグジット(イギリスEU離脱)があり、ドル円は一時1ドル99円を付けました。
しかし、11月には米大統領でトランプが予想外の勝利を収め、101円台から118円台までへと上昇しました。
私はここで60万円を超える損失を出してしまいました。。
2017年は株価は日米ともに大幅に上昇しましたが、FXで勝った人と負けた人がほぼ同数。
そして、2018年は損した人の方が多い結果となるようです。しかも、2018年は30%以上の損失を出した人が一番多くなっています。
この2018年のFXの収益率を見ると、30%以上と大幅に損失を出している人が一番多く、20%以上損失の人との合計では22%の人が20%以上損失を出していることになります。(6 + 16 = 22)
一方、利益を出している人は1〜5%ほどと微増な人が一番多く、30%以上の利益を出せている人は6%にとどまります。
ただし、この調査結果は12月11~18日に実施されたものなので、この1週間のドル円大幅下落で損失を出した人は加味されていません。
ここ最近の円高で私のように大幅な含み損を抱えてしまったり、損切りしたりで、マイナスを出している人は多いと思われます。
というのも、今の米国はかつては高金利通貨と言われていたオーストラリアやニュージーランドの政策金利よりも高いからです。
各国の政策金利、米国は先進国で一番の高金利通貨
国 | 政策金利 |
---|---|
メキシコ | 8.37% |
ロシア | 7.75% |
トルコ | 7.25% |
南アフリカ | 6.75% |
インド | 6.50% |
ブラジル | 6.50% |
香港 | 5.12% |
中国 | 4.35% |
米国 | 2.50% |
ニュージーランド | 1.75% |
カナダ | 1.75% |
オーストラリア | 1.50% |
イギリス | 0.75% |
日本 | -0.070% |
スイス | -0.75% |
参考:政策金利:SBI証券
上記の表では米国以下が一般的に先進国と呼ばれている国々です。
つまり、先進国通貨では米ドルが一番の高金利通貨となっているので、ドル円のFXではスワップポイント狙いでBUYしている投資家も少なくないと思われます。
さらに、日本は来年(2019年)も低金利政策が続きますが、米FRBは2019年に2回の利上げを予定しています。
ということは、2019年末には米国の政策金利は3.0%まで上昇する可能性があります。
2018年のクロス円、クロス米ドルの株価チャート
先程の日経新聞の記事によると、2018年は円が他国通貨に対して強かった1年となったようです。
上記の通貨では、全通過で円高(円が買われてる=円が強い)となっています。
数値だと分かりづらいので、チャートでこの1年のクロス円の動きを見てみたいと思います。
2018年1月から12月までのクロス円の週足チャートです。
これを見ると、対米ドル以外の通貨では、チャートが下落(=円高)となっています。
しかし、対米ドルでも12月に入ってから急速にチャートが下落しています。
スイスフランは日本円と同様に有事(リスクオフ時)に買われやすい通貨ですが、そんなスイスフランに対しては9月末から円が買われています。(=チャートが下落しています)
日経平均株価は10月2日に年初来高値の24,448円を付け、そこから12月に入って19,000円台まで下落しています。
このように、株式市場がリスクオフになると円が買われやすくなります。(=有事の円買い)
こちらは米ドルに対する各国の通貨の2018年の動きです。
米ドルは堅調な米国経済を背景に、「安全資産としてのドル」としての視点から2018年は買われていました。
さらに、先程も説明したように、先進国では一番の高金利通貨です。
世界の基軸通貨であり、保有中に金利がたくさん付く通貨でもあるので、多くの通貨に対して買われてきました。(=強いドル)
しかし、12月に入り、米政権が混乱状態となり、10年続いた米国経済にもリセッション(景気後退)の不安が表れ始め、株式市場ではナスダックとS&P500が最高値から20%以上も下げ、弱気相場へと入りました。(株式市場では最高値から20%以上下落すると弱気相場入りと見なされます)
ダウ30も最高値から現時点(12/25)で19.1%の下落となっており、今後の展開次第では弱気相場へと入っていきます。
このような弱気相場では、「安全資産としてのドル」の地位が下がり、「有事の円買い」が勝る状態となりがちです。
その結果、12月半ばから対ドルに対して大幅な円高が進み、1ドル110円を割りそうな展開となっています。
ただ、来年以降、米株式市場が持ち直せば、またドル円は上昇するのではないかと私は思っています。
というか、ドル円BUYで大きな含み損を抱えてしまっているので、そう願っています・・・。